不動産取得による相続税対策の潮目が変わる

不動産

不動産は一物四価(五価とも)と言われています。

具体的には、①実勢価格(時価)②公示地価③相続税路線価④固定資産税路線価(、⑤基準地価)の4つです。


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実勢価格(時価)は別にして、その他は全て不動産鑑定士が調査するものの、評価主体が違います。

種別 評価主体 目安
公示地価 国土交通省 特殊要因を除いた正常な価格
相続税路線価 国税庁 公示地価の80%程度
固定資産路線価 市町村+東京都 公示地価の70%程度
基準地価 都道府県 公示地価を補完
一物四価と書きましたが、補足すると、地価の基準としてもう一つの基準地価は公示地価を補完するもので、一物五価とする考え方もあります。但し、基準地価と公示地価とほとんど価格が同じです。
公示地価の第一の目的として一般の不動産取引における地価の目安を作ることです。
また、地方公共団体などが土地を収用する場合の価格の算定に使われたりします。少しだけ歴史の話をしますと、地価公示制度は1969年に制定された「地価公示法」に基づいて、1970年(昭和45年)から始まった制度ですが、この年前後の日本は高度成長期でした。
当時10代後半~20代前半だった団塊の世代(人口1,000万人規模)が中心となって、地方から東京や大阪などの大都市に流入してきた時期ですね。時の政府は極端な住宅不足により、国や地方公共団体が地主から用地を買収し、公共住宅を建てるなどの政策が急務であると判断し、これを行いました。

買収の際に地価の目安が無ければ、文字通り法外な価格になったりする危険性がありました。

これが公示地価制度の背景です。

また、これは聞いた話ですが、路線価の目安は変遷してきて、1985年(昭和60年)前後は公示地価の40%前後(30~50%程度)だったようです。

こうなってしまった原因は今一つ分かっていませんが、ひとまず国が基準を設定したものの、それが間違っていた、徐々に修正されていったとみるべきかもしれません。

この頃に現金を不動産に換えると、財産評価が6割減るのと同義です。やりすぎです。

多くの富裕層が土地を買うようになり、土地バブルの一因となったという説もあります。

平成バブル期には公示地価の70%程度になりましたが、バブル崩壊後にようやく80%となりました。

いずれにしても地価を公示する目的は、適正な不動産取引の為、というものです。

相続税路線価は文字通り相続時の財産評価の為。

公示地価よりも安く設定される理由は、ものすご~く乱暴な言い方をすると「わしの土地はこんなに高くない、やり直せ」なんてクレームを予め排除する為です。

固定資産税路線価も、まあ似たようなものです。

前述の通り、上記4つの地価は超難関国家資格として知られている不動産鑑定士が鑑定評価したものです。

※ちなみに不動産鑑定士試験の制度は1964年(昭和39年)スタートです。高度成長期の前半あたりから、適正な不動産価格の指標について重要視され始めたとみてよいでしょう。

そんな不動産鑑定士たちが鑑定したものなので、公示地価なんかは実勢価格(時価)に近いって思われがちですが結構乖離がある。

何故か?

不動産ってのはとにかく特殊な要因が付き物だから。

復習です。

そもそも公示地価は、特殊な要因を除いた正常な取引として求められる価格です。

でも実際は特殊な要因だらけ。これが上場株式や貴金属などの財産と違った不動産特有の事情と言えます。

さて本題(やっとか)

2017年(平成29年)に始まった裁判の行方です。

詳細は楽待新聞に詳しく書いています。(要会員登録)

ざっくり言えば、相続発生直前に相続人が相続税評価額が安くて、でも売ったらめっちゃ高値になる不動産を購入して相続税ゼロで申告したものの、税務署がダメーって言って裁判になってたやつです。

論点はこうです。

亡くなった被相続人が購入した物件は2つで13億8,700万円。でも相続税評価額はたったの3億3,000万円。

その差、約10億円。減額率は76%

不動産の取得が相続税対策と言われる所以です。これは東京などの都市部になればなるほど顕著です。

相続税や贈与税は富裕層に対して税率が非常に高率であることは有名です。

相続税 速算表:国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

この相続人の場合、裁判では3億円の追徴課税を求められています。ヒエー

まず2019年8月に地方裁判所で相続人側が敗訴、もちろん相続人側は控訴して2020年6月に高等裁判所でも相続人側が敗訴確定していた分です。

日本は三審制ですので、最終的には最高裁判所に判断を委ねられます。

最高裁判所の判決は法律と同等もしくはそれ以上の威力があるので、今後類似する裁判があればこの判例が決め手になる可能性が極めて高くなる為、この判決の行方が気になるところです。

まとめると、要するに相続税対策での不動産購入にくさびを打たれる可能性があるってことです。

ちなみに、今回の裁判では、税務署から大きく4つの指摘がありました。

①相続直前に不動産を取得(購入or建築)する
②購入しても2年や3年以内に売却してしまった
③金融機関の貸出稟議書などの融資目的が「相続対策」であった
④取得価格と相続税評価額が大きく乖離

今後も似たようなことをやれば税務署に指摘される可能性大です。

話を元に戻します。

世論は富裕層に厳しいですが、本稿では今回の裁判ではどっちが正しいとか悪いとかの話をしません。

不動産の相続税評価額が実勢価格との乖離があっても、相続税対策として多少は大目に見られていたのは、住宅が不足気味だったからと思われます。

これまで多くの地主さんは、自用地にアパートを建築して相続税評価額を大きく下げ、相続税を免れていました。

よっぽどの場所でない限りはそのアパートに入居者が住み、社会的にも意義がありました。

現在はどうでしょうか?

住宅不足だった時代とは違い、現在は空き家の数が多く、過度は住宅供給はこの空き家問題に拍車をかけます。

せっかく建てたアパートに入居者が住まず、閑古鳥が鳴いて社会的な意義もありません。

政府や国税庁がこれにメスを入れようとするのはある意味当然の流れで、上記判決は4月19日に分かりますが、大きな流れは変わりません。

ってことで、そろそろ相続税対策が変わる大きな潮目だなって思った次第。

でも大事なことは相続税対策ではなくて相続対策だというのがモアぞうの持論です。

小手先の対策にばかり目を向けると、誰のための相続税対策か分からなくなります。
今一度これを考えてみる良い機会かもしれませんね!
※2022年4月20日追記
国側の勝訴が確定。つまり、行き過ぎた相続対策としての不動産売買は今後厳しいってこと

 


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