せっかく引越をするのだから、事件や事故がなく平穏無事に過ごしたいもの
しかし、過去に悲惨な事件や重大な事故があった物件については、一般市民にはなかなか調べる術がありませんでした。
人気ブログランキングに参加しています。
建設・不動産業ランキング
できれば避けたい!”事故物件”とは
芸能人の企画とかで、あえて事故物件に住む人がいますが、あれはもの珍しいから話題作りの一環もあって、一般の方については、できれば事故物件を避けたいところでしょう。
一言に事故物件といっても、具体的な定義はあるのでしょうか?
法律用語を用いるなら、『心理的瑕疵(かし)のある物件』といいます。
しかし、こういった事故物件についての明確な定義は存在しません。
例えば下記のような事項が当てはまります。
例1は言うまでもなく、出来れば避けたいと思う方が多いと思います。
例2の暴力団事務所のほか、刑務所、斎場や騒音や悪臭を出す工場などがあっても、忌避(きひ)される施設として認識される場合があります。
刑務所については公共施設ながら、時折脱走事件などが起きていることを考えると、近隣住民にとってはあまりありがたくない存在と言えるでしょう。
例3の「人が亡くなるような事故」というのは、例えば火災や風災、地震などの災害による事故や、軒先で起こった交通事故なども該当します。
JR福知山線脱線事故現場の様子 2005年4月25日
ちなみに、2005年4月25日のJR福知山線脱線事故では、脱線した電車がマンションエントランスに高速で突っ込み、乗客乗員合わせて107人もの方が亡くなりました。
このマンションは2002年に建った分譲マンションでしたが、築後わずか3年にして建物全体が事故物件となってしまいました。
JR福知山線脱線事故で1階エントランス部分井電車が衝突したエフュージョン尼崎(現在は一部を残して解体済)
事故を起こしたJR西日本は、多数の住民の要望により、各住戸を買い取ることで調整しました。
非常に痛ましい事故でしたが、このマンションは一部を除いて取り壊され、現在は慰霊施設となっています。
事故物件の見極めはできる?
結論から言うと、100%見極めることは不可能です。
しかし、ある程度のコツが分かればかなりの割合で防ぐことができます。
例えば、実際に家を購入する際を思い浮かべてください。
何十年もそこに住み続けるのであれば、やはり地元の情報は貴重です。
物件の近くに古くから営業してそうな喫茶店などあれば是非足を運んで店主に話を聞いてみるのも良いでしょう。
アナログすぎる?
仰る通り。
今の時代はデジタルも活用できます。
大島てる
例えば、いまやテレビでも紹介されてすっかりお馴染みとなった「大島てる」
事故物件の投稿サイトとして有名です。
投稿者は基本的に一般人です。
「不動産屋で契約してきた物件が大島てるに載っている!」なんてことがあれば大騒ぎです。
「知らぬが仏」で、そこで何があったか知らなかったのであれば、いわゆる”霊感”が無い人には関係のない話かもしれません。
但し、大島てるも鵜呑みにするには禁物です。
大島てるのサイトにはコメント欄があり、そこを読んでみると下記のようなコメントがいくつも散見されます。
情報は一般人の投稿によるものなので、玉石混交。
誤った情報も多数記載されています。
どの情報を取捨選択するかは各自の自由ですが、大島てるは現代の情報過多を象徴するようなサイトと言えます。
さらに言えば、大島てるには事故物件と言える物件の全てが投稿されている訳ではありません。
不動産業で働く皆さんも同じことを感じていると思います。かなり多くの見落としがあります。
これは何故でしょうか?
冒頭で「投稿者は基本的に一般人」と書きましたが、下記のような理由です。
事故や自殺の一次的な情報の取得者は、物件オーナーや管理会社、警察や消防です。
警察や消防の発表でマンション名などが報道されれば別ですが、個別の警察官や消防官、もしくは管理会社についても守秘義務があります。
物件オーナーには守秘義務はありませんが、自分が所有する物件をわざわざ事故物件サイトに載せて宣伝するようなことはしないでしょう。
したがって、投稿してある情報はほぼ100%一次情報取得者によるものではないこと。
ただし、大島てるの情報で信用できる点があるとすれば、警察や消防の発表を基にした報道による投稿です。
その他は近隣住民やその他人づてで聞いた情報など、情報がやや劣化しますので、信頼性が落ちます。
そして、投稿は誰でもできるという事実です。
ネットの情報は先述のように玉石混交と言われますが、大島てるに関してもやはり同じことが言えると思います。
毎年2万人近くの自殺者がいて、火災やその他事故でお亡くなりになる方も多いです。
当然ながら、毎年事故物件は増え続けています。
大島てるには膨大な情報が掲載されており、例えば東京23区では7,167件、大阪市では4,188件、神戸市では911件となっています。※令和2年1月21日時点
令和2年9月11日段階で再度見てみると、東京23区7,788件で 大阪市で4,701件、神戸市で994件になっていました。
それぞれ半年ちょっとで1割くらい増えていますね。
事故物件情報が出回ること自体は、消費者の知る権利として必要でしょう。
しかし、どの情報が正しくて、どの情報が誤っているのか分かりませんし、そして自身はどの程度気にするのか、気にしないのかを考えて活用していきたいものです。
事故物件の告知義務は?
例えば1995年(平成7年)には阪神淡路大震災で、2011年(平成23年)には東日本大震災があり、家屋の倒壊や火災で多くの方がお亡くなりになりました。
阪神淡路大震災によって倒壊した阪神高速神戸線 参照:神戸新聞
阪神淡路大震災で言えば、今から四半世紀前です。
大勢の方が亡くなったその場所には再開発で建った分譲マンション、建売住宅など多数ありますが、震災で亡くなった方の上に建っているのを気にする人はほぼいません。
わざわざ書かれると気にしてしまうものです。
25年も経ったから時効と言えるのでしょうか?
法令上、心理的瑕疵における時効はなく、「〇〇年たったら告知義務が無くなる」ということはありません。
法令上の定義付けが無い以上は、判例を目安にするしかありません。
地裁の判決ではありますが、17年前の火災事故で焼死者が出たことに対しては隠れた瑕疵に該当しないとの判決です。
注意点としては、売主も媒介業者もこの事実を知らなかった点ですが、裁判官としては
「心理的瑕疵について調べるにしては、あまりにも過去の話であるから無理だよね」って見解ですね。
知っていたらまた判決が変わっていたかもしれません。
こちらも地裁判決ですが、6年前の首吊り自殺は告知義務あるでしょって判決です。
よく言われている、「1年経過すれば告知しなくて良い」というのは間違いである可能性が高いです。
こちらの判例を見る限りでも、やはり「事故から1年たったら告知義務は消える」
というのは眉唾ものです。
上記の通り、高裁の判例でも1年数ヶ月経過していても告知の義務があるとしています。
また、賃貸であっても売買であっても、「一旦入居者が入ってしまえば告知義務が無くなる」という話もあります。
その入居が短期間であったり、事故から期間を置いてなかったりした場合、上記の判例の数々を見る限り、裁判に持ち込まれると負ける可能性が高いです。
その他事故物件を見つける方法
今はネットの時代です。
でも大島てるのように、事故物件を見極めるにあたって一般人の投稿だけだとやはり不安です。
例えば、購入や賃貸を検討している物件があれば、その物件の名前で検索してみると良いでしょう。
「〇〇マンション 事故」や「〇〇マンション 殺人」などです。
例えば先ほど取り上げたJR福知山線脱線事故現場となったマンション名で検索をしてみます。
今回の検索窓には「エフュージョン尼崎 事故」と打ちます。
すると画像のようにずらずらとサイトが出てきますが、その中に報道機関からの情報もあります。
今回の検索で言えば、神戸新聞のニュースサイトに記載があります。
事故報道は報道局の報道姿勢には関係なく事実は列挙してくれているので、事故物件かどうかを見極めるにあたっては一般人のブログや投稿よりも信頼性が高いと言えます。
ほんの一例ですが、結構これでヒットします。
戸建の場合は「地域名 事故」や「地域名 自殺」などで検索してみると良いでしょう。
上記のようなデジタルと、聞き込みなどのアナログと合わせたハイブリッド調査で、大半はこれで解決です。
素敵な新居が見つかると良いですね!
人気ブログランキングに参加しています。
建設・不動産業ランキング
コメント