不動産業界で働いている方に限らず、不動産関連の資格は比較的有用であることが多いです。
特に宅地建物取引士は、数ある資格の中でも最も人気のある資格の一つとされています。
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こちらの記事は下記のような方にお勧めです。
不動産に関する資格は数あれど、まずは使える資格かどうか、合格するのに必要な勉強時間はどれぐらいなのかが分からないとなかなか一歩踏み出せないと思います。
こちらの記事では出来る限りそういった不明点を解消できるよう解説していきます。
目次
代表的な不動産関連の国家資格
国家資格とは、民間の資格と違って国の法令に根拠があり、その多くに名称独占権が認められています。
広義の不動産関連の資格は、例えば司法書士なども入りますが、どちらかと言えば法律の専門家の位置づけなのでここでは割愛しています
宅地建物取引士
略称は宅建士(以下宅建士)
試験難易度は10段階で6くらい。
言わずと知れた不動産系国家資格の代表格。
年間20万人近くが受験するほどで、極めて人気のある資格と言えます。
ポイントとしては3つあります。
お部屋を借りる際や、マイホームを購入する際など、不動産業者が消費者に対して説明が必要です。
宅地建物取引業法という法律の第37条で定める「重要事項説明」と呼ばれる説明です。
例えその不動産会社の社長や弁護士、あるいは司法書士であったとしても、宅建士の資格が無い者が行うことはできません。
不動産会社の事務所の従業員5人につき1人以上は専任の宅建士の設置が義務付けられています。
退職など何らかの事情で人数要件を満たさなくなった場合は、2週間以内に補充しないと宅建免許の停止処分となる為、不動産会社は否が応でも宅建士を充足しなければなりません。
宅地建物取引士の試験内容は、不動産の知識や法令についてバランスよく網羅されていて、それだけでも非常に有用です。
そして、人が不動産取引無しで人生を終えることは稀で、企業においても何らかの不動産取引は必ず行うこととなります。
万人にとって不動産取引は何かの時に必ず訪れる為、例えば不動産と直接関係の無い業種の企業で働いている場合でも、役に立つ場合があります。
勉強時間目安は最低でも300時間。ほかに関連資格が無い場合は600時間程度を覚悟。
建築士(1級、2級、木造)
建築(建設)と不動産は非常に親和性が高く、「建設業・不動産業」はだいたい一括りで見られることが多いので、不動産関連のカテゴリーに入れました。
国は中古住宅市場の活性化を目的として、平成30年に、宅地の取引における重要事項説明において、「インスペクションの実施状況」が説明項目に追加しました。※但し実施義務ではなく説明義務のみ
インスペクション(住宅診断)となれば建築士の出番ですが、2020年3月時点では建築士である必要はありません。
とは言え、国が推し進める中古住宅市場の活性化には、国家資格である建築士の存在の重要性は言うまでもなく、今後はますます需要が高まると考えられます。
1級建築士は難関資格として知られ、取得すると建設・不動産の業種における大企業への就職・転職はもちろん、独立して建築設計業を営むこともできます。
尚、2020年現在、建設会社の多くは設計士が足りず四苦八苦していますので、高給も期待できます。
受験資格は大学で指定科目を修めた者や、2級建築士もしくは建築設備士の資格者などに限ります。
2級建築士は1級建築士の下位互換ではありますが、木造の建物はもちろん、規模の小さいRC造や鉄骨造などの設計、工事監理を行うことができます。
建設会社はもちろん、リフォーム業者などにも重宝されます。
木造建築士はその名の通り、木造のみの設計、工事監理を行うことができます。
但し、延床面積300㎡を超えるものはできません。
勉強時間目安は1級で最低1,000時間。2級は400~500時間、3級は300時間程度。
専門知識がかなり必要で、心得が全く無い方にはお勧めしません。
管理業務主任者
略称は”管業”。
何の管理をするのかというと、分譲マンションです。
管理組合とタッグを組むことになります。
管理組合はマンションの住人の中で役員が選ばれ、運営するのですが、なにぶん素人だと分からないことが多く、設備業者とのやり取りや法定点検など、非常に猥雑です。
この為、管理組合は特定の管理会社に業務を委託し、マンションの運営を行っていることが多いです。
尚、マンション管理会社が分譲マンションの管理を行うにあたって、事務所ごとに30管理組合に1人以上の管理業務主任者が必要です。
そして、管理業務主任者は分譲マンションの管理委託契約の際に重要事項説明ができる唯一の資格です。
この辺りは宅建と似ていますが、不動産取引の数と比べるとマンションの管理委託契約の数は比べ物にならないくらい少ないので、有用性は宅建ほどではありません。
目安の勉強時間は500時間程度。マンション管理士保持なら100時間程度ですが、おそらく順序は逆になると思います。
マンション管理士
略称は”マン管”。
管理業務主任者と混同されることが多い資格ですが、難易度がさらに高く、分譲マンション管理等のエキスパートでコンサル系資格と言えます。
現在は難易度の割にはあまり使えない資格と言われていますが、2つ理由があります。
せっかく資格を取得しても、マンション管理士でないと出来ない業務がありません。
但し、名称独占権があり、「マンション管理士」を名乗ることができるのは本資格の保持者だけです。
宅建士は宅建業を営む法人については5人に1人、管業は分譲マンション管理業務を行うにあたって、30管理組合に1人という要件があります。
業務を営む法人としては、マンション管理士の設置は必須では無い為、どうしても需要が少なくなります。
これが本質ですが、「今のところうまくいっている」管理組合が多い現状です。
というのは、現在日本全国にある管理組合の中で管理費や修繕積立金などの滞納は減少傾向にあります。
国土交通省によれば、現在何らかの滞納があるマンションは、全体の24.6%(平成30年度)となっていますが、ピークの48.3%(平成11年)からは半減しています。
今のところは大きな問題は出ていませんが、反面、修繕積立金の不足は顕著に表れてきており、今後はマンション管理士の出番が増えてくると思われます。
勉強時間目安は700~800時間。管業の資格者なら300時間程度。
ちなみに管業の試験が11月の下旬で、マン管の試験は12月初旬にありますので、出題範囲が非常に似ている両方の資格を受験する方もいます。
ファイナンシャルプランナー(1~3級ファイナンシャル・プランニング技能士)
略称は”FP1~3級”。
最近何かと話題のファイナンシャルプランナー。
実は「ファイナンシャルプランナー」という名称自体は無資格でも名乗ることができますし、名刺にも記載できます。
国家資格としては、一般社団法人金融財政事情研究会が実施する試験に合格した者だけが「1~3級ファナンシャル・プランニング技能士」の呼称を使用できます。
何よりも利点となるのが、多くの国家資格と違って更新がなく一生有効です。
つまり、更新料等も一切必要ありません。
ちなみに、”FP〇級”という呼称は本来は誤りで、上記の通り「〇級ファイナンシャル・プランニング技能士」です。
この資格だけで独立は難しく、企業の就職や転職にあたって有用なのは、1級を除いてダブルライセンスが不可欠です。
例えば宅建×FP2級や、マンション管理士×FP1級など、資格同士の掛け算で価値が格段に高まります。
資産運用や設計に特化しているだけにその範囲は広く、試験科目として6つの科目のうち、「タックスプランニング(税金)」、「不動産」、「相続・事業承継」という3つの科目が、不動産業での活躍に必須の科目です。
尚、その他3つは「ライフプランニング(年金など)」、「リスク管理(保険など)」「金融資産」で、自身でも必要な知識となりますので、スキルアップの為の取得としては最もお勧めです。
尚、日本FP協会が運営するAFP(アフィリエイティッド・ファイナンシャルプランナー資格)とCFP(サーティファイド・ファイナンシャルプランナー資格)というものがありますが、こちらは民間資格で、更新の際に費用がかかります。
但し、世間的な格としてはFP2級 ≦ AFP < FP1級 ≦ CFP と言われています。
勉強時間目安は、1級で500~700時間、2級で200時間程度、3級は10~30時間でしょう。
1級のみ面接試験があり、それが嫌で受けない人も多いですが、学科試験の難易度が相当高い反面、実は面接試験自体の難易度は低いです。
不動産鑑定士
不動産の価格の評価(不動産鑑定)を業として行う為に必須の資格です。
不動産鑑定業は、国や都道府県が発表している公示地価や相続税路線価、基準地価などの調査を行うとともに、民間でも例えば相続や裁判、納税などの機会に利用する場面があり需要は尽きません。
また、資格保持者の高齢化に伴いどんどん廃業が進んでいくことに加え、中にはエクセルを扱うこともできない資格者もいる為、若い方にとってもは大きなチャンスです。
但し、注意点としてAIとの親和性も抜群なので、例えばアメリカの不動産検索サイトZillow(ジロー)のようにAIが価格査定を行うような未来もあり得ます。
弁護士や司法書士、公認会計士など全ての国家資格を並べた中でも難易度は最上位クラスにあり、勉強時間は最低でも2,000時間は必要です。
宅建保持者であれば100~200時間程度は削減できるかもしれません。
とても独学や在職中に勉強して合格できるレベルではありませんので、万全の準備で挑みましょう。
(番外編)賃貸不動産経営管理士
略称は”賃管”。
以前、別の記事でも紹介したことがある注目の資格です。
宅建保持者が受験しても、そう簡単に合格できないレベルになってきた賃貸不動産管理の専門資格です。
管理業務主任者やマンション管理士と名称が似ている為混同されがちですが、業務内容は賃貸住宅の管理に特化しています。
現在は賃貸住宅管理業者が国土交通省への「登録制」である為、これが「免許制」に変わる動き次第でこの資格の価値も大きく変わります。
理由としては、賃貸住宅管理業者を免許制に移行すると、本資格が必置資格となり、〇人に1人は必要という人数要件も備えることになる為です。
2020年3月6日に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」が閣議決定されました。
つまり、国会審議の土俵に乗ったということです。
これについては、日管協という不動産業界の団体が、前々から国会議員に対して特に強く働きかけていて、ようやくこれが実現しそうな段階にきています。
法案成立は6月の予定ですので、今後目が離せません。
年々試験が難しくなっておりますので、数年前は数十時間の勉強で済んでいましたが、2020年度の勉強時間目安は最低100時間以上は想定しておいた方が良いです。
各資格の難易度
各資格の難易度と有用性の傾向をグラフにしてみました。
試験の合格率だけでは見えてきませんので、目安にしていただければ幸いです。
現在のところ不動産鑑定士や1級建築士は難易度が非常に高く、非常に有用性もあります。
宅建士のコスパの良さは周知の通りですが、難関資格の部類には入りますのでご注意ください。
逆にコスパが悪いマンション管理士は、今後管理組合の修繕積立金の不足問題がクローズアップされると、有用性が増していくと考えます。
まとめ
いかがでしたか?
不動産は万人に関わってくるので、何らかの資格があると非常に便利です。
今回は特におすすめの資格をピックアップしましたが、まだまだ他にも面白い資格はたくさんあります。
より専門性の高い資格や、難易度が低くても有用性が高いコスパの良い資格など、随時投稿していきます!
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