さて拙ブログの更新頻度が下がってまいりました。
こういう時はモアぞうの本業がうまくいっている証拠です。逆に更新頻度が上がっている時は‥‥げふんげふん‥‥いや、なんでもないです。
本日のお話は「そんなこと言われても知らんがな」って思う人が一定数出てくると思います。
「そうだよね」って思ってくださる方もいらっしゃると思います。
そんな感じでお読みくださいませませ。
不動産投資における仲介手数料のお話です。
はじまりはじまり~パチパチパチ
仲介手数料の上限
仲介手数料の歴史を紐解いてみましょう。
まず、現在の仲介手数料の”上限”です。
なんと現在の基準は昭和45年(1970年)に遡ります。
当時の建設省の告示により定められたものです。1970年と言えば、今の52年前ですね。
これ以降に変更が加えられたのは消費税の加算と、400万円以下の低廉な空き家等について、売却の際のみ18万円(税別)まで認められただけで、その他は一切変更されていません。
もう一度良いですか?
1970年ですよ?(しつこい)
この頃に起きた出来事と言えば、大阪万博(1970年)や沖縄返還(1972年)、田中角栄内閣による列島改造計画(1972年)、第一次オイルショック(1973年)などです。
ホントに‥‥かなり昔ですね。
言いたいことはそこではありません。
当時の物価や不動産価格はどうだったでしょうか?
1970年代当時の物価
内閣府によれば、2015年の物価を100とした時に、1970年は31.5でした。
最近は物価も上がってきておりますが、ざっくり言って2015年時点と大差ないと考えれば、1970年の物価は現在と比べて3分の1程度ということになります。
何が言いたいか?
当時の200万円の価値は現在の換算で600万円でした。
当時の400万円の価値は現在の換算で1,200万円でした。
でも仲介手数料は変わっていません。労力は多少変わったかもしれませんが‥‥同じです!
1970年代当時の不動産価格
残念ながら国交省のデータを見ても、当時の指数のようなものはありませんでした。
ただ、田中角栄内閣の列島改造論に端を発した不動産ブームは1973年頃にすさまじい勢いで広まり、この頃に新築分譲マンションの平均価格が1,000万円を超えたと言われています。
現在の価値に直すと3,000万円程度。まあ少し安く感じますがそんなもんでしょう。
物価と不動産価格は必ずしも連動しませんが、上記事例を見ますと、この頃の不動産価格は現在の3分の1以下だった可能性が高いですね。
何が言いたいか?
当時の200万円の価値は現在の換算で600万円でした。
当時の400万円の価値は現在の換算で1,200万円でした。
でも仲介手数料は変わっていません。労力は多少変わったかもしれませんが‥‥同じです!
大事なことなので2度言いましたw
仲介手数料は高いか安いか ~理論的なお話~
賃貸の業界では、仲介手数料ゼロを謳う業者が沢山出てきています。
理由は簡単で、賃貸物件の90%以上は、例え駆け出しの業者であっても取引は可能であり、その多くが貸主から手数料をもらえる物件の為、手数料を値引いても収益を得られるのです。
昔はそうはいきませんでした。
周旋屋と呼ばれるような老舗の不動産屋さんが物件を囲い込んでいた時代がありました。
当時、駆け出しの業者は現在よりも取引可能な物件が少ない上、貸主から手数料をもらえる物件も少ない状態でのスタートだった為、仲介手数料を値引くことは死活問題でした。
まあ今回は賃貸は置いておきましょう。
売買の仲介手数料は、上に書いた通り50年以上も見直しが無いも同然でした。
普通に考えれば、当時と比べて物価が3倍になっているのに上限はその当時の価格から算出したパーセンテージなのはおかしいです。少なすぎます。
つまり、600万円以下の部分は5%、600万円を超え1,200万円以下の部分は4%、1,200万円を超える部分は3%などでしたら合理的です。
さてここまでは仲介手数料の上限が定められた1970年当時と現在を比べた現実的な仲介手数料の上限の話。
仲介手数料は高いか安いか ~感情的なお話~
ここから大事な話。まあ感情論です。
「右から左に情報を流しただけでウン百万円、ウン千万円の手数料なんて高すぎる」
こういう意見があるのは百も承知です。
売主側の仲介においては、売主となる人や会社に対して何年も前から、下手したら何十年も前からの付き合いということもあります。
一棟物のマンションやアパートの場合で物元が管理会社だったりすると、先代、先々代の時から管理をしていることもありますし、もちろん建物の修繕や入居者のクレームに対応してきたという歴史もあったりします。
炎天下の中、隣地に越境している木を切ったり、どぶ掃除したり粗大ごみを片づけたりすることもあります。
時には漏水や断水で入居者から激怒され、矢面に立って何時間にもわたって各戸を回って平謝りしたりしてきました。
有償とは言え、そういった困難から所有者を守ってきた、その物件がようやく売りに出されることになった時、せめて仲介手数料は満額いただきたいものです。
買主側の仲介であっても、関係構築は一朝一夕ではいきませんし、日夜物件を探して何か月も連絡を取りながら、そうやってやっとのことで購入者が首を縦にふるような物件を見つけることもあります。
そういった日常的の努力の結晶も手数料に含まれる訳です。普通は。
そして、そういった涙ぐましい業務をこなすにあたって、人件費や広告費、地代家賃、水道光熱費、交通費などが永続的にかかってくる訳で、いただいた手数料も経費の部分でかなり持っていかれてしまいます。
ウン百万円稼ぐのにウン百万円よりちょっと少ないくらいの労力をかけて、当然ながら法的な責任も負います。
何が言いたいかというと、これらのことを一切考慮せず挨拶代わりに手数料値引きなんて話をすることは、
「お前の仕事に上限の仲介手数料を支払う価値など無い」
と言っているに等しいのです。これは悲しい。
まとめ
とは言え、売主・買主の関係では都会の物件であったり、積算が出る(原価が売値より高い)物件ほど売主が強く、辺鄙な場所であったり、遵法性に乏しかったり、再建築不可など価値の低い物件ほど買主が強くなります。
都会では売主が手数料を値引いてくれと言ったら、値引かざるを得ないことが多いのが事実です。都会であればね。価格も大きいし、実入りは多いので。
都会において買い側の方で買主が手数料を値引いてくれと言われて断られるのは、他に上限額を支払ってくれる買主がいるからです。絶対に間違えてはいけません。
需要>>>>>>供給なので当たり前。
辺鄙な場所では、↓これがこうなります。
供給>>>>>>需要
買主側が手数料を値引いてくれと言って了承してくれるのは辺鄙な場所や価値の低い物件のみです。
他に買い手がいませんから。
まとめると、買主側が手数料をまけてくれというのはほとんどの場合間違いです。
元々、仲介手数料の上限が定められた背景はこうでした。
圧倒的な情報量、ノウハウを持つ不動産業者が、一般消費者の足元を見てぼったくりを行わないようにした
そもそも、不動産投資市場は法的な意味で一般消費者は一切おらず、みんなプロの事業者とみなされます。
消費者じゃない以上は、不動産投資の市場においては、本来仲介手数料の上限なんていらねぇんじゃないの?ってのがモアぞうの意見です。
ただ、何事も行き過ぎは良くないので、今よりももう少し上限を高くしても良いかもしれませんね。
なんだかプチ炎上した焼肉ライクの社長のツイートみたいになってしまいました‥‥。
おまけ

先日お知らせしていたgirls賃貸が始まったようです。
よせばいいのに‥‥賃貸仲介もそんなに甘くないぜよ( ゚Д゚)
中身はタレント養成学校の受講生が接客するってやつ。
Twitterの不動産クラスタ界隈でも非難轟轟です。
デートしながらお部屋探しみたいなコンセプトなので、果たして女性の安全が守られるのかどうか心配です。
もう始まっちゃったみたいなので、同じ業界にいる者として動向を見守っていきます。


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