新年明けましておめでとうございます。
本年度もよろしくお願いいたします。皆様にとって良い年でありますように。
ってことで、新年早々乱暴なタイトルなのはご愛敬です。
知識や情報を得るのは大切ですが、それ以上に行動することが大事って自己啓発本に書いてました。まあだいたい書いてますよね。
しょせん知識や情報は机上の空論、経験に勝るものはありません。
ところが、ここで多くの方が勘違いするような格言があります。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
オットー・フォン・ビスマルク(1815-1898)
ドイツの初代宰相(首相に相当)で鉄血宰相の異名を持つビスマルクの言葉です。
ちなみに、ビスマルクは日本に対してもご縁があります。明治維新でようやく近代化に一歩踏み出した日本に対して、力を持たぬ国は発言権を持たないってことで富国強兵を強く勧めました。その結果、教科書で習った通り日本は富国強兵により、日清戦争(1894-1895年)と日露戦争(1904-1905年)で見事勝利を収めることができました。
また、死後に母国ドイツの主力戦艦の名前になったりしています。
おっと話が脇道に逸れました。それぐらいスゲー人物ってのが言いたかったのであります。
で、この格言の意味は?
なんか読み方によっては、こんな風に読めます。
愚かな人は経験にしか学ばない反面、賢い人は経験ではなく歴史から学ぶ。後者の方が良いのだって。
はい、こんな風に読んではいけません。
正しくはこうです。
愚かな人は何にも調べずにとりあえず経験(行動)することから始めて失敗する。賢い人はちゃんと過去の事例など調べるべきものを調べてから行動に移す。
何にも調べないで行動することって自殺行為ですよね。まあ時に必要な時はないこともないですが、緊急事態に限るってやつじゃないっすか(適当)?
ただ、困ったことに過去の成功事例ってたくさん本が出てるけど、不動産投資はその当時の融資環境次第でかなり手法が変わってくるので、必ずしも再現性がある訳ではないのが悩ましいところです。相場も2016年17年頃と比べて上がっていますしね。
では今のアパートローンの融資状況はどうでしょうか?
2018年~2019年頃はアパートローンの融資状況は非常に厳しかったと記憶しています。
スルガ銀行の不正融資問題もあり、金融庁の通達によってアパートローンを実行する際には厳しく審査することが求められた時期だったからです。
2020年はコロナ禍元年でしたが、その後の2021年、2022年も意外と融資姿勢はやや前向きになっていきました。
それでも、金融機関がもっともアパートローンに積極的だった2016年以前にはなかなか戻らない状況です。完全にステージは変わっています。
もしこれから不動産投資をするなら、下調べはもちろん大切。但し、不動産投資絶頂期の時代(2013~2016年頃)とは環境が変わっていることだけは認識しておくべきかと思います。
そして下調べを終えた後も、2016年以前から不動産投資を行っていた先輩諸氏よりも行動量においても負けていてはいけません。
スタートラインがのび太と思うくらいでちょうど良いかもしれません。
で、2023年の融資環境はどうなりそうか?
これについては↓の動画が分かりやすいです。もと財務省の役人で内閣官房参与も務めた高橋洋一さんの動画です。
要約すると下記の通りです。
長期金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げたことにより民間金利も今後上がってくる。すでに長期固定金利は上がっている。
変動金利はすぐには上がらないが、来年4月に黒田総裁から新しい総裁になった時に短期金利も上がってくる可能性がある。
何故かと言えば日銀新総裁が出た時には伝統的な日銀理論に基づいて金融政策を行うから。
伝統的な日銀理論とは、高いインフレ率の時には金融引き締めに動く。これで短期金利も上がってくる。※現在は金融引き締めの真逆の金融緩和。
長期金利が上がると設備投資も伸びないし、金利が上がっていく予想がたつと円高に振れる。そして円高になる方がGDPマイナス要因になるし株価もあまり伸びない。
まとめると、今のところ短期金利は上がっていないが、インフレ率が高い水準で続くことになれば金融引き締めにより今後上がってくるから、それに備えなきゃならない。
これを防ぐには岸田政権を倒せば良い。但し財務省傀儡じゃない政権じゃないとダメ。
最後の部分は選挙によるしかないですが、このまま岸田政権が続くと景気は悪くなりそうだな~ってことのようです。残念ながら‥‥。
尚、日銀の伝統的な金融政策において物価上昇率が重視されることは先ほど述べました。
そして現総裁の黒田総裁も物価上昇率は2%程度で安定するまでは金融緩和を続けると言い続けてきました。
では、直近の消費者物価指数はどうでしょうか?2022年11月度の分が発表されています。
(1) 総合指数は2020年を100として103.9
前年同月比は3.8%の上昇
(2) 生鮮食品を除く総合指数は103.8
前年同月比は3.7%の上昇
(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は102.0
前年同月比は2.8%の上昇引用:総務省統計局 統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 全国(最新の月次結果の概要) (stat.go.jp)
こういった場合は(3)の生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数を見るのが良いのですが、どうも日銀は(2)で見ている節があるらしいのです。
つまり、前年同月比で3.7%の上昇。通例でいけば金融引き締めをしてもおかしくはありません。
2022年の4月以降安定的に物価は上昇し続けていますが、エネルギー価格の上昇は統計上はもちろん、肌感覚でさえも明らかですから、まだまだ安定しているとは言い難いという意見もあります。
こういったことから金融引き締めするのは時期尚早と思われますが、日銀はそうは捉えていない可能性が高いのです。
黒田総裁は、先日の長期金利の上限を引き上げたのは金融引き締めが目的ではなく利上げでもないという意味のことを言っていますが、別の理由があるにはあるものの、結果的には実質的な利上げとなってしまっています。
この項をまとめると、長期金利の上限撤廃→固定金利がすでに上昇中。4月以降に短期金利が上がりそう→次に変動金利も上がるって感じです。
で、次に為替ですがさっそく円高基調になってきています。先ほども申し上げた通り、円高は不景気要因です。
日銀政策変更で円は緩やかに上昇、23年春の新総裁誕生で異次元緩和の修正へ
2022年12月20日、日本銀行は金融政策の一部を修正した。
これにより、まず、金利は上昇しやすくなった。
これまでに比べて、外国為替市場で主要投資家は円売りを仕掛けづらくなる。
ドルなどに対して円は、急激ではなく、緩やかに上昇するものと予想される。
いずれにせよ、日銀は実体経済と金融市場に対する大きな負の影響が及ばないように金融政策を修正していくと考えられる。
23年4月に黒田総裁は任期を迎える。
新しい総裁の下で、日銀は慎重、かつ部分的な異次元緩和の修正を進めることになるだろう。
引用:ダイヤモンドオンライン 2022年1月3日:https://news.yahoo.co.jp/articles/df48fde9c31ebfa16180f76b27adb68a136ee50a
不景気になると基本的には金融機関も融資を引き揚げてくるのが通例なので、不動産投資においてはあまり環境が良いとは言えないですね。
まあ短期のトレンドは岸田政権が続く限りは緩やかな円高基調だと思っています。
ちなみに、為替に関しては金融のプロ()が1ドル500円の時代が来ると言っていますので、きっとそうなんでしょう(棒読み)。
もし、私が現役のトレーダーだったら、今こそ、為替で儲けようとすることでしょう。
なぜなら、これほど先の予測がしやすい相場はないからです。
中略
私が1ドル400円、500円となり、その後は天文学的数字になると言っているのは、日米金利差よりも「ばらまいたお金を回収(QT:量的引き締め)」するFRBと「未来永劫、お金をばらまき続けなければならない(QE:量的緩和継続)」日銀との金融政策の違いなのです。
その結果、回収されて希少価値が出てくるドルと、毎日天から降ってくる円では、その価値に大きな差が出てくるのです。
近年の世界的なインフレの主因は「お金のばらまきすぎ」ですから、インフレをコントロールできるFRBの通貨と、「インフレをコントロールできない」日銀の通貨との価値の差は将来、非常に大きくなってくるだろうと思っているのです。
そこで、1ドル400円から500円くらいまでドル高・円安が進みます。
その結果、日本は世界に冠たるインフレ国家となります。後略
フジマキ・ジャパン代表取締役 藤巻 健史
引用:プレジデントオンライン 2022年12月30日:https://news.yahoo.co.jp/articles/b0030d1a4d8dc83aae925f4750da3183be6657c5
この方は10年以上も前からずっと円が紙切れになる、日本が破綻する論を展開していますので、ネタ枠として暇つぶしに記事を読んでみるのが良いかと思います。だいたい言ってることと逆のことが起こりますのである意味貴重な存在です。
話を戻すと‥‥
収益不動産をこの市況であっても個人投資家であっても、買っている人は多くいます。
買えている人に共通しているのは、大きく2つです。※元々富裕層とか宝くじが当たったとか仮想通貨で億り人になったみたいな例外は除きます。
まず、1つ目。良い物件は一瞬で買付が入り、数日後には契約されてしまいます。
契約になれば手付倍返しではなく、違約金20%程度取られることになりますので、よっぽどのことがなければそのまま決済引き渡しへと進んでいきます。
ぐずぐずしているといつまでたっても物件は買えません。残念な物件ならいつでも買えますが。
ではどうすれば早く決断できるか?
一言で言えば自分自身の与信と物件の積算価格でほぼ答えが出ます。
ちなみに与信は金融機関により見方が異なります。
ある金融機関では重視する点が現預金であったり、ある金融機関では金融商品だったりします。
金融機関ごとに自身に対していくらまで貸してくれるかを知ることが早く決断する一助となります。
もう一つの積算価格とは、乱暴に言ってしまえば建物と土地の固定資産税評価額の合計額です。これは公課証明や納税通知はがきに記載されています。
物件が持つ実際のところの収益性や、今後客付が容易なのかどうかなどの判断基準も重要です。
与信や物件の目利きついては以前書いた記事で詳しく書いています。もしよければどうぞ♪
収益物件の判断基準は3つ。まず第1に適正な賃料。第2に融資が組める物件かどうか。そして第3は管理状況です。
次に2つ目の「後から文句を言わない」ですが、なんだか乱暴に聞こえますよね。
売主や物元の仲介業者目線でいくと、満額で購入してくれる方は大歓迎ですが、実はそれだけでは優先順位が2番目です。
不動産というものはメーカーの商品と違って、売主も知らない不具合や変な人など、何かが出てくることがあります。
重説などで可能な限りは調べて説明するのですが、100%伝えるのは不可能ですし、知らなければ伝えようもないのでこうしたトラブルは避けられません。
そんな時に、ある程度割り切ってくれる買主がさらに優先されます。これも価格に入っているようなものです。
宅建業者が買主だと契約不適合責任を免責にできる為、一番良いですが多くがそうもいきません。プロ中のプロなので価格目線が厳しい為です。
個人投資家であっても契約不適合責任を呑んでくれるなら話が早くなります。
もちろん、売主も騙すつもりがないのが前提ですがこればっかりは買主自身で、ある程度目利きができるようになる必要がありますので、前述の記事は必読ですw
性格的に細かい方は要注意です。隠しましょうw
さて、ちょっと数字が見にくいですが、国交省が定期的に配信している不動産価格指数(一棟マンション・アパート)のグラフです。
2022年Q3(7月~9月)が最新ですが、こちらが157となっています。
2010年を100としていますが、例えば不動産投資が活性化してきた2013年は105~110あたりです。
そこから徐々に上昇し、2017年頃には130台に突入。その後停滞し、2021年から再び上昇して現在に至ります。
「収益不動産は以前(2013~2020年)の方が安かった」というのは噂レベルではなく現実です。
この頃に収益不動産を購入して、売却できた方の手法とこれからの手法は否が応でも変わっていくことでしょう。
まとめると‥‥
市況が悪いから買えないってのは本当。だけど買えている人はいる。
今後も市況は悪くなる可能性がある。だからどうしても不動産投資をしたいなら下調べは必須。
ちゃんと予習してから挑んだ方が失敗する可能性は低い。ちゃんと歴史に学ぶこと。
そしてここから先はやや本末転倒な話ですが、「失敗は成功の母」みたいな言葉もあるし、歩くよりも先に走るのもアリな場合があります。
とりあえず無くなっても痛くない程度の資金を投じるなら、小さな不動産をエイヤーで買うとかです。
そこで得た経験はまぎれもなく小さいながらもまぎれもない不動産投資としての貴重な経験なので。
巷でも、今年はとりあえず安い物件を買ってみる、ってのを目標にする人もいます。
とは言え、不動産投資をうっかりゴールにしてしまうことになってしまうと、「恋に恋焦がれる」が如く、本質を見失ってしまいますので注意が必要です。
そもそも「何のために不動産投資するのか?」を考えるのは大切です。
目的地まで他に道はないのか?とか考えていくと、あれ?株式投資で良いじゃん、とか不動産小口化商品でよいじゃんとか色々出てくるかもしれません。
これが一番大事だと思う新年初の記事となりました。
改めて、今年もよろしくお願いいたします。



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