OYOLIFE 何故大阪、名古屋から撤退したのか? まとめ

不動産

不動産関連に限らず、大きなニュース以外はテレビであまり報道されないので、情報は自身で取っていく必要性や機会が多く、不動産オーナーにとって、借主と想定される層やライバルの情報などは興味があるところだと思われます。

本日はインドからやってきた OYOオヨ 関連のニュースについて解説していきます。

 

2021年3月17日追記

2021年3月16日付、日経新聞によれば、OYOホテルズアンドホームズは日本からの不動産賃貸事業を撤退させると発表しました。

ホテル事業はそのまま継続させる意向です。

 

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2020年2月6日にウォールストリートジャーナル(電子版)にて、ソフトバンクGの株式25億ドル以上をアメリカのヘッジファンドが買い占めたと報道がありました。

そのヘッジファンドとは、モノ言う株主として有名なエリオット・マネジメントです。

ソフトバンクGの株式時価総額に照らし合わせると、3%程度になるようですね。

ソフトバンクGが運営する投資ファンド(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)の投資判断に透明性を持たせるように求めるなど、今後動きがありそうです。

そんなソフトバンクGが出資する2012年に設立されたインド発のホテルチェーン「OYO」が運営するマンスリー事業であるOYOLIFEについて解説します。

OYOLIFEとは

「旅するように暮らす」をコンセプトに、スマホで契約できるのを最大の強みとして2019年3月にサービスを開始しました。

当初は敷金礼金仲介手数料ゼロ(現在は予約手数料11,000円や退去時清算金16,500円がかかる)でした。

ソフトバンクGが2億5,000万ドルの資金を投資したことでも注目を浴び、東京都内で約8,000室の部屋を借り上げました。

その後大阪、名古屋に進出すると大々的に発表し、9月には大阪の賃貸住宅フェアにも出展。

地元不動産業者との連携を取りつつ、部屋の確保に邁進していきました。

OYOLIFEの歴史

・2018年7月31日 会社設立 資本金1万円
法人名:OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN株式会社
・2018年10月26日 資本金200万円に増資
・2018年10月29日 目的に不動産賃貸事業を追加(登記は同年11月29日)
・2018年10月30日 資本金41億6,562万5,000円に増資
・2019年3月28日   東京都内でOYOLIFEのサービス開始
・2019年11月1日   ヤフーとの合弁解消に伴い、取締役2名辞任(1名は9月に辞任)
・2020年1月14日  同日の賃貸住宅新聞のインタビューで大阪と名古屋からの撤退が決定していたことが判明。その後日経(ネット版)も同日に記事。
インドの格安ホテル運営会社、OYO(オヨ)ホテルズアンドホームズは、日本国内での不動産賃貸事業で大阪と名古屋から撤退する。
2019年からソフトバンクグループと組んで拡大してきたが、稼働率が低迷。約8千に上る物件数は2~3割減るとみられる。
今後は首都圏に絞り収益を改善する。国内ホテル事業は計画通り進める。
19年3月に始めた不動産賃貸「オヨ・ライフ」は空き家や空室をオーナーから借りネットを介して貸… 以下会員限定記事
2020年1月15日 シニア・バイス・プレジデント、OYO LIFE 日本代表の勝瀬 博則氏が退任。後任は山本 竜馬氏。

OYOLIFEのビジネスモデル構築の経緯

以前、このブログから引っ越し前のブログで記載したことがありますが、OYOLIFEのそもそもの構想の始まりは民泊事業でした。
平成30年に7月31日に会社の設立時には、設立の目的として、現在OYOLIFEがやっているような「不動産賃貸業」の文字がありませんでした。
OYOLIFEの商業登記簿謄本
会社を設立した3ヶ月後の10月29日に定款を変更していますね。
具体的には、下記の通りです。
謄本の見方として、下線が引かれているのは削除された項目です。履歴が分かるようになっています。
当初の目的欄には(2)の「不動産賃貸業」が無く、平成30年10月29日に追加されたことが分かります。
OYOは当初日本で民泊事業を行う予定でしたが、日本では旅館業法の厳しい規制があり、思うように収益を生み出せそうにない事態に直面します。
先んじて部屋の借り上げを始めてしまったOYOですが、あることに気づきます。
例えば、東京都内では「特区民泊」の適用が可能ですが、部屋は25㎡以上必要です。
自治体によっては緩和措置がありますが、基本的には23㎡とか、21㎡とかの部屋では民泊運営ができないことになっています。
さらに、特区民泊では滞在期間が2泊3日以上とされています。
自治体によっては6泊7日以上など、使い勝手がいまいちです。
また、2018年(平成30年)に施行されたいわゆる民泊新法(住宅宿泊事業法)を活用するとすれば、広さの制限はありませんが、営業日数が年間180日以内に規制されています。
民泊の損益分岐点の基準となる稼働率は最低でも7割。欲を言えば8割は欲しいところ。
年間半分以下に規制されている民泊新法はそもそも持てあましている住宅を、家主が小遣い稼ぎ程度に行える程度の仕組みになっていますから、わざわざサブリースでリスクを取ってやるものではありません。
つまりOYOがサブリースして民泊するにはリスクが高すぎ…を通り越して、破滅は目に見えていました。
そういった経緯で、賃貸と宿泊の中間に位置するマンスリーに行きつきます。

OYOLIFE運営会社の会社概要

・法人名:OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN株式会社
・資本金:41億6,562万5,000円
・本店:東京都千代田区内幸町二丁目1番1号
・創業者:ラケシュ・ クマール・ プルスティ
・代表者:山本 竜馬

レオパレスやその他マンスリー業者との違いは?

マンスリーにおいて群を抜いて知名度(悪評含む)があるのがレオパレスですが、いわゆる一般のマンスリー業者とOYOLIFEとの違いは何でしょうか?
レオパレスのホームページには以下のような記載があります。
『敷金礼金仲介手数料不要!』
『Wifi完備!ネット使いたい放題!』
『家具家電付き!』
『月々の光熱費不要!(賃料共益費に含まれている)』
『マンスリー契約可能!』
『旅行者の方にも快適にお過ごしいただけます』
レオパレスに限らず、マンスリー業者もだいたいはこんな感じです。
続いてOYOLIFEのホームページでは以下のような記載です。
『敷金・礼金・仲介手数料不要』
『水道光熱費・Wi-Fi費など全部コミコミ』
『家具なし物件に家具家電を設置可』『サブスクサービスやクーポンも充実。』
『スマホで簡単に契約』
『鍵の受け渡しがファミマやTSUTAYAで可能』

『契約期間は最短31日(以後30日前に予告)、最長24ヵ月』

レオパレスやその他マンスリーとの大きな違いは赤字にしている「スマホ(のみ)で契約」と鍵の受け渡しぐらいでしょうか。
ちなみに、マンスリーマンションは現地のポストに鍵が入っていたりするので、利便性で考えるとたいした違いではありません。

OYOLIFEでの契約と一般の賃貸契約の違い

以下はOYOのホームページの画像です。
大阪と名古屋の撤退前は予約手数料の設定は無く、退去時清掃費も有ったり無かったりしたのですが、2020年1月中旬以降にこの2つの費用が明記されました。
尚、2の「これまでの賃貸よりもお得!」は根拠をもう少し示さないと誇大広告と判断される恐れありです。
以下、参考までにエクセルでちゃちゃっと作ってみました。
かなりOYOLIFE側に都合が良いような前提条件比較表です。
最近は礼金ゼロ、仲介手数料半月分とか、ゼロの業者でさえも増えてきておりますが、あえての礼金1ヶ月、仲介手数料1ヶ月分です。
敷金はかかったとしても、退去時に過失がなければ全額返還されますので省いています。
また、一人暮らしを想定して、月々の光熱費は平均で1万円、ネットは安ければ月額3,000円とかのプランもありますが、あえての5,000円にしてみました。
で、比べてみたところ、当初はOYOLIFEが圧倒的に安いです。
しかし、2年目の8ヶ月目から9ヶ月目(20ヶ月目~21ヶ月目)あたりで賃貸がOYOLIFEを逆転して、安くなります。
OYOLIFEが「賃貸よりもお得」と書いていますが、設定される条件や入居期間によってはもっと早い段階で逆転するし、何より、「2年後」に引っ越しをする場合は家具家電をすでに備えた「賃貸派」がかなり有利になります。気になる引越代は都内での移動であればせいぜい5万円程度(時期にもよりますが)。
重ねて書きますが、OYOLIFEと賃貸を比較する上で、OYOLIFE側にかなり有利な条件で比較しても、21~22ヶ月目には賃貸が逆転し、その後もずっと賃貸が得ということが言えます。

OYOLIFEを借り続ける層とは?

そうなると、OYOLIFEを借り続けるだけ自分で家具を揃える従来の賃貸契約より不利になります。
OYOLIFEの利点の一つとして、お手軽に引越できる点は秀逸です。
気が向いたら引越って、賃貸では費用面や手間を考慮するとなかなかできません。
しかし、上記の通り、5年10年とOYOLIFEを利用し続けるとすれば、賃貸で同じように住み続けるのと比べ、トータルでかなりの差が出て損をします。
OYOLIFEは、賃料共益費が一般賃貸と比べて概ね1.4~1.5倍で設定されているからです。
それらを鑑みると、下記のような顧客層が考えられます。
①法人
②自由業(都内で活動する自営業、ネット起業家など場所を問わず活動しやすい人など)
③一般賃貸では審査に落ちてしまいがちな人(破産歴、カードブラック、犯罪歴など)
ノリで借りる人は多いと思いますが、借り続けるかどうかは別の話。
最も現実的なのは法人だと思われます。
例えば、地方で採用した新入社員が東京で1ヶ月とか2ヶ月とか研修する際に、マンスリーは重宝されます。
もちろんその場合は既存マンスリー業者と競合になりますが、需要は確かにあります。
問題は、マンスリー需要ってここ10年以上ほとんど変わっていないという点です。

今後OYOLIFEが生きる道

上記の通り、企業のマンスリー需要はほとんど変わっておらず、新規参入する業者も少なかったのでレオパレスが生き続けられる理由の一つとなっています。
一時、OYOがレオパレスを買収する話が持ち上がった時がありますが、立ち消えになりました。
但し、レオパレスの創業者と同じで、都内や大都市での展開に特化しているMDIとはすでに提携していました。
レオパレスは施行不備や音漏れ、オーナーからの苦情など悪評が絶えないので、買収するのを留まったのは良かったと思います。
MDIは都内にも多数物件を保有しているので、これを糧に法人需要を取り込めれば、豊富な資金力を駆使して、その他既存マンスリー業者に勝てるかもしれません。

大阪・名古屋から撤退せざるを得なかった理由

こちらも以前のブログでご説明したことがありますが、地元不動産業者に嫌われていた点が挙げられます。
不動産業界は、他の業界と比べて横の繋がりの重要性は計り知れません。
多くの業者は業界団体や業者会などで深く繋がっていて、ゴルフは当然として、「夜の勉強会」をともにしたり、非常に仲が良いです。
これを敵に回すと事業は立ち行きません。
例にあげると、かつてサークルKサンクスというコンビニがあったのをご存じの方が多いと思います。
九州でのシェアがずっと低かったのは、福岡の有力不動産会社を怒らせてしまったことが遠因だと言われています。
具体的には、仲介業者が資料を貰っておきながら、それを飛ばしてオーナーに直接アプローチしたようです。
九州の不動産業者同士は特に繋がりが深く、福岡の業者であっても、熊本や鹿児島や長崎の業者と蜜月関係だったりします。
九州は特に顕著ですが、どこの地域でも横の繋がりが強いのが特徴の不動産業界です。
OYOは大阪では賃料の100%で借り上げていました。
大阪が地元のマンスリー業者は70%とか80%とかで借り上げていたので、OYOに対して戦々恐々でした。
ちなみに、地元のマンスリー業者といっても、運営母体は大阪の賃貸屋さんや管理会社なども運営している中~準大手くらいの不動産業者が多いのです。
OYOLIFEが敵視されるのは当然でした。
こういった事情もあり、例によって横の繋がりが強い大阪において、多くの管理物件を持つ不動産業者が、OYOに対して警戒して物件をほとんど貸しませんでした。
もう一つは契約条項の問題です。
OYOは物件オーナーから物件を借りる際に、フリーレントを付けます。
これ自体は悪くないのですが、特約事項で、問題はフリーレント期間が終わる前後であっても、OYOの都合でいつでも解約できる文言を入れていることもありました。
もちろん契約ごとですので、物件オーナーとOYOの双方が合意していれば何の問題もありません。
しかし、あまりに儲からないので、この特約を盾にフリーレント期間終了前後に解約を実行しまくって完全に物件オーナー側にそっぽを向かれました。
管理戸数が多く力のある管理会社は、この特約自体を排除できましたが、中小の業者は言いなりになっていた部分があります。
OYOLIFEの運営会社のバックにはソフトバンクGが付いており、資本金も40億円以上の大企業ですから、さすがにそんなに無茶はしないだろう、という安心感もあったのかもしれません。
さらに悪いことに、2019年11月(報道は同年12月中頃)にはYahooという有力な広告媒体を持つヤフー株式会社との提携が解消されます。
ヤフーのトップページの横の部分(以下の画像参照)に「OYOLIFE」の項目が無くなりました。
今はZOZOTOWNなんかもありますね。
これにより、ヤフーとコラボした広告も無くなり、露出が減っていきます。
当初に物件調達から躓いて、良質な物件はほとんど回ってこず、さらに広告での認知度向上もうまくいまずで物件の稼働率はどんどん悪くなります。
最終的には稼働率が2~3割であったと言われています。

まとめ

不動産業界の黒船と言われ、豊富な資金力を背景に日本に上陸してきたOYOでしたが、現在はメインのホテル事業と、東京周辺の地域に縮小してOYOLIFEを運営しています。
ちなみに、OYOが運営するホテル事業である「OYOHOTELS」は楽天トラベルで検索すればだいたいどれぐらいあるかが分かります。
例えば、「OYOHOTELS 楽天トラベル」と検索すれば2020年2月8日現在で155件でした。
ここ2~3ヶ月間ウォッチしていますが、ほとんど件数が変わっておらず、ホテル事業もうまくいっていないかもしれません。
OYOLIFEは従業員が2019年12月の時点で約500人でした。
OYOの従業員については、早い段階でマーケティングにおいて優秀とされる人材をヘッドハンティングで獲得してきた背景があるだけに、かなりの高コスト体質になってしまった一因となっています。
大阪と名古屋から撤退し、さらにこの高コストな体質を見直しする必要もあることから、大規模なリストラが行われていると推察されます。
マンスリー自体は社会的にも必要な業態ですので、細々とではあっても、地道に経営を続けていれば大阪や名古屋、その他地方にも波及させる展望は持てます。
ソフトバンクGが出資しているので、キャッシュアウトでの倒産は無いと思いますが、今後事業に見切りを付ける可能性は大いにあり、ソフトバンクGの今後にも関わる話なので、まだまだ目が離せません。

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