新型コロナウイルスのまん延で緊急事態宣言が出されてからの初めての土曜日です。
指定された7都府県(東京都、大阪府、神奈川県、埼玉県、千葉県、兵庫県、福岡県)では多くのショッピング施設や催し物会場、遊戯施設、映画館などが閉鎖され、家に籠らざるを得ない状況になっています。
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平日においても、通勤ラッシュの時間帯でも電車の席に座れたり、高速道路等で渋滞が起きなかったりしています。
さて、人々の関心事はただ一つ。
誰もこれについて答えを持っていません。
まさしく”神のみぞ知る”
そうは言ってもヒントくらいはないものか。
そう思うのが人の性でしょう。
ここはひとつ、過去にあった疫病(伝染病、感染症とも)の流行の歴史を見てヒントを探っていきましょう。
ペスト(黒死病)
社会科の教科書でも必ず紹介されるのが14世紀のヨーロッパを中心に流行ったペスト(黒死病)が最も有名です。
その犠牲者の数は、当時のヨーロッパの人口の4分の1~3分の1の2,500万人~3,000万人と言われています。
上の絵は当時の様子を描いたもので、ペストの犠牲者を運ぶ様子が描かれています。
人類史上最も大きな被害をもたらした伝染病の一つです。
また、ペストは14世紀よりも前にも何度か流行していて、古代ギリシャや東西ローマ帝国でも流行が記録され、一度の流行で数百万人が亡くなった事例もありました。
ペストが広まった原因は諸説ありますが、ペスト菌を保有するノミがネズミにつき、ネズミから人間に感染したり、またはノミが人間を刺したりして感染したとの説もあります。
感染拡大においては【ノミ(もしくはネズミ)→ヒト】よりも【人→ヒト】の割合が高く、感染力が強いのが特徴の一つです。
人から人へは空気感染はせず、接触感染や飛沫感染のみですが、これは今回の新型コロナウィルスと同様です。
また、ペスト菌に侵されて未治療の場合だと10人中3~6人は死亡するという驚愕の数字です。
当時は貧困層に限らず、医療を受けられる体制は十分ではなかった点を踏まえると、いかに恐ろしい致死率かが見てとれます。
ヨーロッパ全土に広がったとされているペストですが、唯一被害を免れた地域があります。
これが少しヒントになるかもしれません。
その地域は現在のポーランドです。※上記地図の大きな緑色の部分
ポーランドは当時人口密度が低く、都市や村同士との距離が長く、さらに貿易に関しても閉鎖的だったことから、他所からペスト菌が持ち込まれるリスクが低かったと見られています。
それだけでなく、ペストがヨーロッパ諸国で流行すると、都市の門を閉鎖し、菌の流入を徹底的に防ぎました。
また、他の西欧諸国と違って、当時から家で猫を飼うという文化も要因ではないかと言われています。
ペスト菌はネズミが媒介する事例が多いので、ネズミを捕食する猫が多いとペストへの感染リスクは弱まります。
これらの要素が重なり、ポーランドが無事だったと思われます。
しかし、人口密度が高く、貿易や人の往来も盛んだった西欧の諸都市はそうはいきませんでした。
背景としては、モンゴル帝国によるユーラシア大陸の一体化があります。
世界の歴史まっぷより引用 https://sekainorekisi.com/download/モンゴル帝国の最大領域地図/
モンゴル帝国は、かの有名なチンギス・ハンを始祖として、13世紀初頭から破竹の勢いで進撃を続け、最盛期にはユーラシア大陸の3分の2を支配しました。
現在の中国や中央アジア、先ほどのポーランドを含む東欧までその勢力が伸びていました。
モンゴル帝国はジャムチと呼ばれる駅伝制を採用していて、今風に言えば「道の駅」を20~30kmおきに配置しました。
さらに運河を整備するなど、交易ルートの確保に多大な労力をかけました。
モンゴル帝国が廃れた後もこれが活用され、東西の交易ルートを確立、人の往来も格段に増えました。
これにより、ヨーロッパ諸国にもヒトやモノが大量に流入することになります。
ペスト菌を媒介するノミやネズミもこうやって広がっていき、パンデミックのきっかけとなりました。
天然痘
1980年に撲滅宣言が出された天然痘ですが、こちらも過去に凄まじい被害をもたらしました。
大航海時代にコロンブスが現在のアメリカ東海岸付近に上陸したのをきっかけに、アメリカ大陸に天然痘ウィルスが持ち込まれた結果、先住民に大流行した事例が特に有名です。
元々天然痘に全く免疫が無かったアメリカ先住民は、次々に天然痘に感染して重篤化しました。
致死率が20~50%とも言われる天然痘ですが、場所によっては10人中9人が死ぬ事例もあり、一つの村が絶滅したりしました。
また、当初は北米大陸のみだった感染拡大でしたが、ピサロとコルテスが行った南米のインカ帝国、アステカ帝国への侵攻に伴い、南米にも拡大していきました。
フランシスコ・ピサロによるインカ帝国皇帝の絞殺
スペイン軍が征服した後に天然痘の感染拡大に苦しむアステカ人
16世紀初頭のアメリカ大陸の先住民の人口が2,500万人と推計されていますが、16世紀末頃には100万人近くまで減少しました。
日本で言えば、1億2,600万人の人口が約500万人(兵庫県とか福岡県の人口に相当)に減ったようなものです。
ペストの大流行と共通点があります。
大航海時代の到来も前述のモンゴル帝国の台頭に似ていて、隔離された世界同士が一つになることにより、人の往来が格段に増加する要因となりました。
モンゴル帝国がユーラシア大陸を席捲するまでは、いわゆる東洋と西洋は隔離された世界でした。
大航海時代も同様で、コロンブスがアメリカ付近に到達するまではヨーロッパとアメリカは完全に隔離されていました。
スペインが真っ先にアメリカ大陸の探検と開拓に乗り出して以降、アメリカ大陸に持ち込まれた天然痘が流行しただけでなく、逆に梅毒がヨーロッパに”輸入”されたという説もあります。
大航海時代はインド航路や西回り航路などの発見により、世界中の貿易に凄まじい影響を与え、多くの人が世界に散らばるきっかけとなりました。
当然、感染症が拡大する大きな要因となります。
スペイン風邪
1918年の1月から1919年の12月までのおよそ2年間にわたって猛威を振い、死者の数は1,700~5,000万人と推計されていますが、第一次世界大戦の混乱期の為、近代でありながら死者数の説に幅があります。
”スペイン”風邪なんて不名誉な名称がついていますが、近年の研究ではインフルエンザの一種とされ、その発祥はアメリカという説があります。
日本でも感染が拡大しました。
今とそっくり。福岡市の各学校が休校する措置を取っています。
日本の人口が約5,700万人だった当時、流行が始まった1918年8月から1919年7月までの第一波だけで患者の数は2,100万人以上が感染、25万人が死亡するという異常事態。
流行が始まってからのおよそ2年後1921年7月に終息するまで、患者の数が2,380万4,673人、死亡者は38万8,727人、致死率は1.63%でした。
何故「スペイン風邪」かと言うと、前述の通りヨーロッパやアメリカは戦時体制中で自軍に不利な情報を隠す情報統制を敷いていた為です。
スペインは当時中立国だった為、戦争には参加していませんから情報の隠匿の必要がなく、その危険性が余すことなく伝えられました。
世界中の国々に先駆けてこの感染症を発表したことから、スペイン風邪と呼ばれるに至りました。
事情を知らない人はスペインが発祥だと思ってしまうので、いち早く発表して本来称賛されるべきなのになんとも世知辛い話です。
推定される感染者数は約5億人とされ、当時の世界人口の25%以上という凄まじい数字です。
ちなみに、2020年4月11日現在の新型コロナウィルスの感染者数は世界で164万人なので、その数は約300倍です。
死亡者数は現在のところ10.1万人ですが、仮にスペイン風邪の死者数が5,000万人とすると、その数はやはり500倍に上ります。
世界大戦とは銘打っているものの、主な戦場はヨーロッパでした。
同盟国同士は自国と同盟国を自由に行き来します。
敵国同士は戦場で相まみえますが、その交戦地域は多岐にわたります。
また、戦時中というのは戦略物資や食料などの輸出入が急務になりますので、貿易港を玄関口として多数の人が出入りすることになります。
さらに、戦場から送られてきた傷病者を手当していた医師や看護師が感染することにより、戦争による怪我人の増加もあって医療崩壊が起き、治療が十分に行き届かないという事態になりました。
第一次世界大戦という特殊な事情により、あらゆる人同士が接触する機会が多くなっただけでなく、医療崩壊が起きて感染が拡大、死者が激増した経緯があります。
今回の新型コロナウィルスの感染拡大を考える上で、この部分が重要です。
第一波で極めて大きな被害を出した後に、1年ほど経過してようやく終息したと思いきや第二波が襲ってきます。
第二波の特徴は、極めて致死率が高い点です。
患者数は第一波の10分の1に減っていますが、死亡者数は第一波のおよそ半数にも及びます。
第一波に関して、感染が確認された1918年8月から1919年1月15日のおよそ半年弱の間に、第一波の9割にあたる1,900万人が感染し、20万人超が死亡しています。
これを今回の新型コロナウィルスに当てはめてみると、今年の1月に感染拡大の懸念が広がっておりますので、7月頃までは一切の油断ができないことになります。
また、第一波が去った後に油断して再度感染が広がる第二波の存在を決して忘れることはできません。
新型コロナウイルスとの共通点
上記に取り上げた3つの感染症は、現在世界中で感染が拡大している新型コロナウイルスの動向について、重大なヒントを残しています。
まず、感染症の流行には人の往来が激増する時代背景がセットになっています。
現在の時代背景にも当てはまる部分があります。
かつて貧しかった中国は、現在世界第二位の経済大国です。
中国から世界を旅する観光客は激増し、各地で中国人のコミュニティもできています。
中国は今更否定する動きを取っていますが、武漢という東京都並みの人口を誇る巨大都市から始まった今回の騒動は、”春節”という中国文化圏での正月という時期が重なり、これらの要因が重なって世界中にまん延しやすくなったと見られています。
ポーランドのように、徹底的に人の往来を遮断すれば感染拡大を防げるのは歴史が証明していますので、まずは日本だけでなく各国が行っている緊急事態宣言や””戒厳令”などは一定の効果があります。
さらに、現代は衛生観念の向上や、天然痘を撲滅した医療技術があります。
過去のパンデミックと同じ結果になるとは思えません。
とは言え、緊急事態宣言による経済の停滞が長く続けば、今度は不況による自殺や自閉症などのリスク、老人などは外に出ないと足腰が弱くなるので、ますます外出を控えるようになるなど、副作用も格段に大きいのが怖いところです。
新薬やワクチンの開発は1年以上の時間を要しますので、この期間を耐えることができれば未来は明るいです。
現在はアビガンやエボラ出血熱の薬などが一定の効果を発揮しているようです。
過度な自粛ムードは劇薬ですが、ウイルスを抑えるにはしょうがいないのでそれに耐えられるように政府への働きかけをしていく必要があります。
しょぼい経済対策に対して、地元代議士に陳情するなどNOを出していかないと大変なことになります。
そして、スペイン風邪の教訓の通り、第一波、第二波、そして第三波が来る可能性があることを認識することで、感染拡大が防げる可能性が高まります。
国民1人1人が当事者意識の自覚をもって冷静に対処していくことが大切ですね!
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