新型コロナウィルス蔓延の影響で、中国の工場の多くが稼働していない状況の中、住宅設備の部品が足りない事態というのは先日からお伝えしている通りです。
もっとも、住宅設備だけでなく自動車や精密機械の部品の一部も供給が止まっており、一時的ではありますが工場の生産ラインに悪影響が出ています。
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タイミングが悪いことに今は3月。
3月末竣工の新築物件や、中古であってもリフォームしての引き渡しとなる物件が最も多い時期になっています。
目次
部品が足りない設備はどれ!?
温水洗浄便座「ウォシュレット」でお馴染みのTOTOや、住宅設備大手のLIXIL(リクシル)、家電大手のパナソニックなどが、自社HPで新規受注停止を発表しています。
トイレ、システムキッチン、洗面化粧台、キッチン水栓、ユニットバス(浴槽など)。
トイレ、洗面器(洗面台)、システムキッチン、ユニットバス(浴槽など)、電気温水器など。

新築やリフォーム後の部屋の引き渡しは可能?
例えば洗面台だけ無い状態であれば、後日設置ということで何とか我慢できる範囲ですので、引き渡しは行われると思われます。
しかし、給湯器やトイレ、浴槽は生活をする上での必需品です。
TOTOやLIXIL、パナソニックが発表している中で、供給が滞っている設備で共通しているのはトイレとシステムキッチンです。
大手の3社ですらこの状態ですから、中小の業者はいわずもがな。
日本全国でこれら住宅設備が枯渇している状態なので、代替品の供給も難しいと考えられます。
となると、これら設備無しで引き渡しをするか、引き渡しを延期するしかありません。
賃貸物件での賃料減額請求は可能?
民法の改正により、設備の不具合等による賃料減額請求は入居者に有利になりました。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会により、賃料減額のケースとしてのガイドラインが策定されています。
状況 | 減額割合(月額) | 免責日数 |
---|---|---|
トイレが使えない | 30% | 1日 |
風呂が使えない | 10% | 3日 |
水が出ない | 30% | 2日 |
エアコンが作動しない | 5,000円 | 3日 |
電気が使えない | 30% | 2日 |
テレビ等が使えない | 10% | 3日 |
ガスが使えない | 10% | 3日 |
雨漏りによる利用制限 | 5~50% 結露・カビが発生した場合は50% |
7日 |
例えば、月額賃料10万円でトイレが使えない状態で引き渡しを受けた場合は、免責日数はわずか1日で、トイレが使えるようになるまで月額賃料を本来の30%ダウンの月額7万円にすべきと請求することが可能です。
仮に4月1日から引き渡しを受けて、4月20日にトイレが設置された場合は下記の通りの計算となります。
(10万円×30%)×(20日-免責日数1日分)/30日=19,000円減額
また、トイレとお風呂が使えない場合は、同じく月額賃料10万円とすると、
(10万円×30%)+(10万円×10%)=4万円が減額になりそうです。
とは言え、全般的に言えることですが、あくまでガイドラインですので、このように数字だけ当てはめて必ず減額される訳ではありません。
例えば、賃貸借契約書上での条文や特約がある場合は、よっぽど無茶な内容でない限りはそちらが優先されますので注意が必要です。
引渡しが間に合わなかった場合どうすれば…!?
どうやっても引き渡しができないとなれば、どのように対策を取れば良いかを予め念頭に置いておかないと大変なことになります。
例えば、
・大学や専門学校などへの入学
・入社、転職
・転勤
などであれば、どこかに引っ越したり、一時的に避難場所を確保しない限りは新しい場所でのスタートが切れません。
数日から1か月の一時避難場所としては、ホテルが良いでしょう。
コロナショックの影響で観光業が大打撃を受けている中で、ホテルの価格はずいぶん下がりました。
一時期は平日でも1泊1万円必要だったシティホテルが、現在は4,000円台というのも珍しくありません。
1ヵ月を超えるとなると、さすがにホテルではコスパが悪いです。
近くにマンスリーマンションなどがあれば、その方が安くつきます。
一時躍進したOYOLIFEは残念ながら大阪や名古屋から撤退し、現在は東京周辺の南関東エリアのみなので、せっかく必要な時なのにその他地方では活用できないのが痛いところです。
楽天トラベルからマンスリー、ウィークリーでの利用が可能なホテルを検索できますので、お近くにあれば活用してみてはいかがでしょうか。
損害賠償請求はできる?
賃貸物件では、賃料減額請求ができるので、別途被害があったことを証明できなければ、損害賠償を請求することは難しいでしょう。
また、戸建や分譲マンションを購入した場合でも、例えば引越前に住んでいた賃貸物件の解約をしてしまっており、住むところがないなどの立証が必要と思われます。
とは言え、建設会社や工務店がどんな理由であれ物件の引き渡しが遅れるという事態は信用に関わります。
こちらから何も言わなくてもある程度の”誠意”のようなものは提示されるかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
新型コロナウィルスの影響はすでに世界各地に広がっており、熱に弱いという噂もありますが、赤道直下のシンガポールでも感染が確認されるなど、油断は禁物です。
休校措置やイベント自粛などと合わせて、社会に甚大な影響を与えていますが、例えば今回の物件の引き渡し遅延は、中国に部品調達を依存していた結果、起こるべくして起こる事態と言えるかもしれません。
こういった事態には事前に備えておくことが必要です。
早くこの騒動が終息することを切に願っています。
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