今日は妄想まじりです(いつもか)。
昨年、物流施設を扱っている業者さんと面談した際に初めて知ったのがドライバー2024年問題です。
さてこれが不動産とどう関わってくるか、いつも通りあんまり当たらないモアぞう予測をしてみようと思います。
でもね、この問題を知っておくことは損ではありませんよ。
物流業界「2024年問題とは」
結論から言えば、2024年の法改正で物流会社の人件費が高騰して倒産が増えそうって話です。
今や猫も杓子もネット通販です。
宅配ボックスが人気の設備ランキングの上位に常駐しているのも頷けます。
今やアメリカをけん引する巨大テック企業5社GAFAMの一角、アマゾンは元々BOOK(本)しか扱っていなかったのは周知の通りです。
※GAFAM:Google、Amazon、Facebook(Meta)、Apple、Microsoftの頭文字をとったもの
ネット通販で欠かせないものは言うまでもなく物流です。
その物流を足元で支えているのはドライバーさんたちです。
物流における2024年問題とは、法的にドライバーの待遇改善を進めていこうという試みが端を発しています。
そんな物流業界にとって実情に合わない法改正を行うことによって、大げさに言えば結果的に物流業界を壊滅させることになるんじゃないかって深刻な問題なんです。
いったいどんな内容なんでしょう。
これまではドライバーの年間時間外労働時間に上限は設けられていませんでした。
今回の法改正では、これが年間で960時間までに制限されることになります。
2024年(令和6年)3月、つまり来年3月までは適用が猶予されていますが、同年4月からは適用となります。
ドライバーの中でも長距離トラックのドライバーは運転時間のほかに荷捌きの時間や、配送先での待機時間なども労働時間とみなされるので、時間外労働時間が年間960時間ってのは実務上結構厳しいって話です。
尚、今年2023年4月1日からは、時間外労働時間に対して割増の賃金の比率が25%から50%に上がります。
今年から物流業界の人件費がじわりじわりと高騰していきます。
「なんだ、良い話じゃないか」
物流業界については慢性的な人手不足にも関わらず、ドライバーの待遇はそれほど良くはありませんでした。
公益財団法人日本トラック協会によれば、2021年のトラック運転手の平均固定給は203,700円で、時間外手当である変動給が123,400円となっています。
固定給の半分以上が時間外手当。
2023年4月以降はおそらく時間外手当が固定給の7割とか8割まで上がってきますね。
さてそんなドライバーさんたちの年収で言えば平均が447万3,600円(前述の公益財団法人日本トラック協会)になります。
同じ2021年の統計で全業種の平均年収が445万円でしたから、ほぼ同等に見えますが、問題は時間外労働の長さです。
一般の給与所得者の時間外労働時間の上限が年間720時間に対して、2024年4月から施行されるドライバーの年間の時間外労働時間の上限は960時間と、一般と比べ240時間も多いです。
これは時間外労働が常態化していることを意味しています。
何が言いたいかと言うと、時給に直せば給料は安いってことです。
事業者の淘汰とその後
巨大な物流施設(ロジスティクスパーク)は日本全国で急ピッチで建設されています。
物流業は経済の柱であり、社会的存在意義が高い割には、それを担う人材は枯渇していたのは一重にドライバーの労働環境の悪さだとされてきました。
2024年以降、どうなっていくのでしょうか。
当然ながら、時間外労働時間の上限を守れない業者は労基に目を付けられ企業経営に支障をきたします。
給与に反映させられない業者も、働き手がいなくなり淘汰されていくでしょう。
ってことで、大手寡占とか、地域で有力な企業のみが生き残るなど、中小零細の運送業者の経営は非常に厳しいものになります。
各企業の問題とは別に、法の建て付けが問題で物流業界が停滞する可能性があるのは政府としては避けたいところでしょう。
物流業界の近未来
ここからがモアぞうの意見です。
少し前に、怪しげな若者集団が時給を上げろデモをしていた時のことです。
それを見たホリエモンが「時給1,500円になったらお前らの仕事がロボットに取って変わられるだけ」と発言しました。
まさにその通りで、スーパーのレジや飲食店、ユニクロなどの物販店ではセミセルフ、セルフサービスが進み、どんどん人が不要になっています。
また、最近ではAIが見事な絵を描いたり、文章を書いたりする事例も散見されます。
アメリカのある法律事務所では、特許に関することはAIに任せているという話もあります。
つまり、人件費が高騰しすぎると、企業はロボットやAIの開発に舵を切ります。
物流業界で言えば、これに当てはまるのは自動運転に違いありません。
自動運転のレベルは国交省で定めています。
【例】自動で止まる(自動ブレーキ)、前のクルマに付いて走る(ACC)、車線からはみ出さない(LKAS)
現在主流なのはこのあたりでしょうね。
【例】車線を維持しつつ前のクルマに付いて走る(LKAS+ACC)
【例】高速道路での自動運転モード機能
①遅いクルマがいれば、自動で追い抜く
②高速道路の分流、合流を自動で行う
この実験は数年前からすでに行われています。
システムが全ての運転タスクを実施。システムの介入、要求等に対してドライバーが適切に対応することが必要です。
高速道路等、一定条件の下での自動運転モード機能を有する「自動パイロット」
※2020年に実現の目標でしたが、実験段階で実用化には至っていません。
限定された地域での無人運転移動サービスと、高速道路での完全自動運転。
前者は2020年を目途に目標として掲げられていました。
トヨタのウーブンシティが好例です。
後者は2025年に実現の目途となっています。これが実現すれば、過酷な長距離ドライバーの仕事は激減すると思われます。
全ての地域で完全なる自動運転が実現している状態です。
人が運転しない為、運転者はおらずお酒を飲んでも構いません。
さて、ドライバーの中でも長距離ドライバーは特に拘束時間が長く、人出不足が深刻です。
レベル3でも高速道路の自動運転は可能ですが、ドライバーは車に乗っていなければなりません。
それでも、睡眠をとったりはできるので、労働環境は大幅に改善されます。
さらに、レベル4の高速道路で完全自動運転が実現すれば、高速道路上は全てAIが運転を担い、ドライバーは高速道路のパーキングエリアのような場所で待機しておき、車が到着すれば乗り込んで下道を移動し短距離を運転するという手法が確立できるかもしれません。
素人目線ですが、AIによる自動運転は高速道路間のA地点からB地点なので何となくすぐにできそうな気はしますね。
ただ、10年以上前から高速道路での自動運転の実験は行われていますが、本格的な実用化に向けては技術的な問題のほかに法的な問題をクリアする必要があります。
例えば、AIによる自動運転で事故が起きた場合、責任は誰になるのか?などです。
その後の未来
ここからは先は妄想の要素が強くなりますが、近い将来必ず起きます。
レベル3の高速道路間の自動運転が実用化した後、下道を含む特定のエリアや条件下限定での自動運転を実現するレベル4、そしていつでもどこでも完全自動運転が可能となるレベル5に到達するには、膨大なセンサーから情報を読み取る技術と通信規格である5Gを超えた6Gの通信規格が主流になった後に実現するでしょう。
現在の通信規格は4G~5Gの間です。完全に5Gに移行した時、世界は一気に変革すると言われていましたが、今のところ5Gがそこまで普及していないのでピンときません。
5Gを超える6Gは2030年に実用化されると期待されていましたが、こんな調子だともしかするともう少し先になるかもしれませんね。
とは言え、晴れて6Gが実用化された時、自動運転も劇的に進化する訳ですが、その時に不動産における「利便性」の概念って大きく変わると思いませんか?
例えば、駐車場付きの物件。
現在でも自家用車が当たり前の時代はすでに終わっていて、車はシェアする時代になりつつあります。タイムズカーシェア、ホントに便利です。
レベル5の自動運転が主流になると、バスやタクシーのように車を頻繁に利用できるようになります。しかも格安で(人件費がほぼかからないので)。
電車通勤の概念もかなり変革があるでしょうね。なんせ自分で運転しなくても、運転手がいなくても目的地に着きます。電車のように寝過ごす心配もありません(これは多分‥‥)。
駅やスーパーから近いとか遠いとか、都会とか田舎とか、平地だとか坂道だとか、価値観は変わってきますね。自動運転これだけで。
だから駐車場付きの物件は今ほど貴重ではなくなると思います。駅近物件もウカウカしていられません。
人手不足の物流業界の危機から、大きな変化があるとすれば自動運転技術の進歩。
そんな訳で、物流問題2024は自動運転推進の起爆剤になるんじゃないかと思う次第です。
今日は妄想が過ぎましたかね‥?皆さんはどうお考えでしょうか。


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