中国発の激震に備えよってか③

経済

先日、大きな台風が日本列島をかすめていきました。

多くの築古物件のオーナーにとっては残念な結果(意味深)でしたが、沖縄は大変そうでしたね。

これから台風到来が本格化する季節です。地震と違ってある程度事前に分かっているので対策はしやすいのが幸いですが、それでも対策しない人や軽視している人は一定数いますが、どこの世界にもそういう人はいるもんです。


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さて前回及び前々回の続きです。3回に分けるのは実は初めてだったりします。

前回及び前々回はおよそ3000文字だったのですが、1万文字近い記事になったチューリップバブルの記事がありますが、あれも分割した方が読みやすかったかもしれませぬ。まあいいや。

ちょっと政治的な話が多くなってしまうのは致し方ない部分ではありますが、本稿の内容は今後日本国内の不動産業にも大きな影響が出そうなので触れざるをえませぬ‥‥ご了承ください。

例によって前回のおさらいです

中国には破産法制がきちんと整備されていないので、いざバブル崩壊の影響で企業倒産が多発すれば日本のバブル崩壊時を遥かに超えるくらい大変なことになりそうだって内容でした。

他のまともな国なら通常は破産法制がきちんと用意されているわけです。アメリカだと「チャプター11(アメリカ連邦破産法11条)」が用意されていて日本にも破産法制がたくさんあります。だから破産処理の手順も事前に明確になっているのです。そのことが不良債権処理でもものすごく重要な役割を果たします。

中略

中国ではあらかじめ破産を処理するメカニズムをつくっていなかったために、バブルが弾けた後の悪影響もそれだけ大きくなるということなのですね。

引用:経済原理を無視する中国の大誤算P42/発行:株式会社ビジネス社/著者:石平/高橋洋一)

とは言え、これは中国本土の話。

日本への影響は?って話は今回に持ち越していました。

日本は輸出大国‥‥なんてことはなくて、実は内需大国です。

ちょっと古いですが2018年のデータでは日本の輸出対GDP比はたったの18%で、アメリカの12%に次ぐ”ワースト”2位です。つまり輸出に頼っていない。

その中でも中国への輸出は4分の1程度ですので、輸出対GDPでせいぜい6~7%ということで、これが無くなったところで一部企業や業界に影響があるものの屋台骨が揺らぐことは無さそうです。

また、中国から輸入している品目の多くは他の国からの輸入で代替可能です。かつて中国からのレアアースが禁輸された時も、日本企業は代替技術の革新に舵を切ってこれを乗り切った実績があります。その技術が当然ながら今でも生きています。

中国の不動産バブル崩壊による日本への影響のみで考えるとこんな感じ。

アメリカは日本以上の内需大国なので言わずもがな。

ってことでGDP世界1位の国と世界3位の国はそれほど影響が出ないように思えます。

さて問題はそこから先にあります。こればっかりは予測困難なほどの影響が出るでしょう。

それは中国の政治体制が大きく変わることです。まだ可能性は低いですが、ちょっと雲行きが怪しくなってきた理由を書きます。

前回書いた文章を抜粋します。

世界の国々の中で政治体制は大きく分けて2つあります。

1つは民主主義。

我が国日本はもちろん、アメリカ、イギリスなどの先進国は全て民主主義です。

もう一つは共産主義。

中国のほか、北朝鮮、ベネズエラ、ベトナム、キューバ、ラオスなどです。

先進国の定義は高度な民主主義が条件だったりします。

高度な民主主義が先進国の条件と書きました。

1人当たりのGDP1万ドルの壁っていう説があります。

何かというと、民主主義体制を取っていない国では、1人当たりのGDPが1万ドルを超えたあたりから頭打ちになるという歴史的な傾向のことです。

高橋 民主主義と経済発展とは関係があるのです。歴史を遡ってみると、非常に小さな国か産油国以外は政治が民主化しないと1人あたりのGDPは1万ドルを超えて伸びません。逆にいうと、民主主義度がある一定以上になると1人当たりのGDPも1万ドルを超えて伸び、さらに民主主義度が高くなるにつれて1人当たりのGDPは右肩上がりに増えていきます。

民主主義度と1人当たりのGDPは正比例の関係になるのです。そうなる理由はいろいろと考えられても、最終的にはやはり民主主義と市場経済というのが非常にマッチするからだと思います。

例えば、李登輝によって1988年から民主化へと歩みだした台湾の1人当たりのGDPが1万ドルに達したのは1992年でした。以後も市場経済のなかで民主化がどんどん進んで、今では1人当たりのGDPも3万ドルを超えるようになってきました。

引用:経済原理を無視する中国の大誤算P134/発行:株式会社ビジネス社/著者:石平/高橋洋一)

民主主義国家とは定義はありませんが、イギリスのエコノミスト誌傘下のエコノミスト・インテリジェンス・ユニット研究所が毎年発表している世界167の国と地域を対象にした「民主主義指数」が参考になります。

民主主義指数は0~10までの数値で表され、8.01~10が完全な民主主義6.01~8.00欠陥のある民主主義4.01~6.00が混合政治体制、0~4.00独裁政治体制となっています。

概ね6を超えてこないと民主主義とは呼べないってことです。

さて世界の主な国々の1人当たりのGDPを見てみましょう。

台湾は上記の通り3万ドルくらいで、民主主義指数は8.99ということで完全なる民主主義の定義。

日本4.2万ドル(民主主義指数8.15)、アメリカ6.3万ドル(同7.85)、イギリス4.8万ドル(同8.10)、ドイツ4.6万ドル(同8.67)、フランス4.6万ドル(同7.99)、イタリア4.6万ドル(同7.68)、カナダ4.8万ドル(同8.87)。先進7か国は全て4万ドルを超えています。そしていずれも民主主義度は高く民主主義国家として知られています。

中国はと言うと、1万500ドル(2020年)で、1万ドルをちょっと超えたあたりになっています。

民主主義指数は2.21(167国と地域の中で148位、下から数えて17番目)と非常に低い。ちなみにワースト3は北朝鮮、ミャンマー、アフガニスタンという錚々たるメンバーですw

現在は独裁国家として名高いロシアも1人当たりGDPは1万115ドルで、民主主義指数は3.24で同124位。

何が言いたいか?

中国が1人当たりGDPを伸ばしていこうと思えば、独裁体制を止めて民主主義国家になる必要があります。

それができますか?って話。いや無理でしょう。

では、このまま経済が伸び悩んだらどうなるか?

歴史が証明しているアレが起こるかもしれません。

‥‥そう

農民反乱です。

紀元前209年 陳勝・呉広の乱でその後始皇帝が立ち上げた秦の滅亡の一因となりました。

その後前1世紀の赤眉の乱

紀元2世紀、黄巾の乱

8世紀には唐代中期 安史の乱

9世紀 唐代末期 黄巣の乱

12世紀 北宋の末期 方臘の乱

14世紀 紅巾の乱 その後朱元璋による明の建国

17世紀 明代末期 李自成の乱

19世紀 清代末期 太平天国の乱、義和団の乱

これら農民反乱によって、いずれも時の統一国家に多大なダメージを与え、その後大きく衰退もしくは滅亡させられています。

KOEI 三国志14より

紀元2世紀末‥‥184年に起きた黄巾の乱は三国志でお馴染みですね。

この反乱で前漢、後漢合わせて400年続いた王朝が倒れるきっかけとなりました。

また、12世紀の方臘の乱の方臘は水滸伝の登場人物です。その後、疲弊した宋の国は北の北方民族の金国の侵略によって北部を抑えられ、さらにその後に金を滅ぼしたモンゴル帝国(元)によって滅亡しました。

さて前置きが長くなりました‥‥(前置きだったのか)。

今後起きるであろう事項3つ。

一つ目。中国マネーによる不動産購入が下火に?

中国の富裕層が日本の不動産を積極的に購入しているのは周知の通りです。

昨今は円安も手伝って、その動きが加速しています。

ただ、今年4月24にに中国当局(司法部公共法律服務管理局)が次のような規制強化を行っています。以下、以前の記事からの引用です。

司法部公共法律服務(サービス)管理局から。

通達の年月日は2022年4月24日。

主旨:マネーロンダリング、詐欺、不法な資金集めなどが横行している為、公証制度を見直し、強化することでこれら犯罪を防ぐことを目的とする。

規制強化の対象:中国在住の個人(※法人は除く)が海外投資をする場合の公証手続き

予想される影響:中国人在住の投資家が海外(日本を含む)の不動産を購入する際に非常に面倒な手続きを踏まねばならず、容易に投資ができなくなる。つまり日本の不動産も購入しづらくなる。

規制強化の通知内容:定型書式の使用の徹底。また、対応は臨機応変ではなく、定められた方式通りに例外なく審査すること。また、公証機関は犯罪の恐れがある場合は公証を行ってはならない。

中国当局が本国で蓄えた富を海外に持ち出すことに対してかなり神経質になっている表れと言えます。

中国の富裕層の多くはアメリカなど先進諸国に子女を留学させたり資産を移動させているのも有名な話なので、これに楔を打つ形です。

不動産業界では中国マネーによる不動産購入はエンドの出口としては非常に有益でした。

彼らのほとんどは現金で購入するので、融資が付きにくい一癖も二癖もある物件は彼らが受け皿になりました。

まずこの流れが厳しくなる可能性があること。

二つ目。中国の経済成長が止まる。

すでに止まっているという説が有力ですが、中国当局はこれを認めていないどころか、年間6~7%成長し続けていると発表しています。

ただ、前述の通り独裁国家は1人当たりのGDP1万ドル限界説があります。

独裁国家の中国がこれ以上成長する為には民主主義国家になる必要がありますが、もちろん習近平国家主席は認めないです。

しかし、経済成長が止まると言うことは失業率が上がり、民衆の収入は停滞することを意味しています。これが先ほどの農民反乱のきっかけになる可能性があります。

最後三つ目。台湾有事。

今年2月のロシアのウクライナ侵攻のように、中国による電撃的な台湾侵攻がひそかに計画されていたという噂がありました。

ちなみにロシアは2014年にクリミア半島を侵攻し、”民主的”な手続きによってロシアの領土としました。それに味をしめて、今回も簡単にウクライナを手中に収めることができると思っていた節があります。

で、ロシアの方が思いのほか苦戦しているのは周知の事実ですが、これを誰よりも注視していたのは中国だったりします。

中国はロシアがウクライナに侵攻したのと同じように台湾に侵攻しようと計画しているので、現在のロシアの国際的な立ち位置がどうなるかを確認したいのです。

で、どうか?

ロシアは国際決済システムのSWIFTから締め出されたことで、全世界から経済制裁されてしまったのと同義になりました。

ロシアは食料やエネルギーだけは豊富なので何とか食いつないでいますが、中国はそうもいきません。

では台湾は無事?

そうもいきません。

二つ目に述べた経済の停滞による民衆の不満を外に向ける必要が出てきます。

その矛先は我が国日本と、台湾です。

中国の不動産バブル崩壊とか経済の停滞、それ自体は大した影響はありません。全世界的にも。

ただ、日本への調達はもちろんのこと、台湾有事も決して他人事ではありません。

ってことでまとめると下記の通りです。

・中国の不動産バブルはすでに崩壊
・不動産バブル崩壊の影響は数年後にずれ込む(日本もそうだった)
・日本のバブル崩壊よりも影響が大きく処理にも時間がかかる(中国は破産法制が整備されていなので不良債権の総額の把握が極めて困難)
・但し、中国不動産バブル崩壊の影響事態は全世界的にみても大きくはない
・中国が独裁政権である限り1人当たりGDPはすでに頭打ち(1万ドルの壁)で、経済発展は望めそうにない状態
・もちろん独裁政権を手放すつもりはない(手放すと自分たちが抹殺されかねない)
・経済の停滞によるくすぶる民衆の反乱の火種
・民衆の不満を外に目を向けさせる為、対日、対台に強硬に出ざるを得なくなる
・台湾有事(もしくは可能性はまだ低いけど日本有事)

台湾へは先日、アメリカのペロシ下院議長(大統領、副大統領に次ぐアメリカのナンバー3)が訪問しました。当然ながら台湾を狙う中国への牽制となりました。

それだけにアメリカも台湾有事を念頭に動いているのが分かります。

ってことで、起こり得るシナリオは台湾有事で、それが起きた時の日本への影響はちょっと想像ができないレベルです。

ちなみに中国には国防動員法という法律があります。

何かというと、在日の中国人であっても当局の命令があれば本国の為に動かないと罰せられるという無茶な法律です。

不動産投資どころではなくなるかもしれませんね。冗談抜きで。

残暑厳しい今日この頃‥‥怪談はこの辺にしておきますw

そうならないことを祈るばかりです。


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