企業と消費者が直接商取引をするBtoCのツライところは、通常の利益を乗せて販売しただけでもぼったくりとか言われやすいことです(極論)。
賃貸契約における保証会社の契約なんかでも、よく消費者から「なんでオーナーの為にある保証会社の料金を借主が払わなければならないんだ?」なんてツッコミはよくありますね。
まあ分からんでもない(謎の上から目線)。
最近ツイッターでもちょっとした論争になっていたので、興味を持って眺めていました。
今回の記事は保証会社についての考察。
長いので2回に分けますw
保証会社論争が巻き起こってるみたいだけど、モアぞうの見解をば。
少子高齢化、晩婚化、そして年功序列が薄れたことによる連帯保証人の保証能力が昭和の時代と比べ格段に衰えています。
例えば30代の借主の親はまだ現役だったりしましたが、今は下手をすると後期高齢者一歩手前なんてこともあったり
— イースター島不動産💨モアぞう (@55akaruimirai) July 23, 2022
Twitterに投稿していたモアぞうの見解をまとめると下記の通りです。
保証会社の必要性 ①少子化
皆さんがイメージしている通り、厚生労働省の「人口動態統計」によれば、上のグラフのように日本は少子化が進んでいます。
尚、移民などの特殊要因を除けば、合計特殊出生率が2.0を下回れば人口が減っていくことになります。
我が国において記録が残っている中で合計特殊出生率がピークだったのは昭和24年(1947年)で、なんと4.32でした。
この生まれた世代は「団塊の世代」って呼ばれていますので、それだけ数が多かったんですね。
しかも現在まで日本では戦争や飢饉、疫病などもなく、団塊の世代は現在においても非常に数が多いですよね。
それはさておき、最新の発表では令和2年(2020年)の合計特殊出生率は1.33になっています。
ピーク時の3分の1以下ですね。
つまり、兄弟姉妹がいない世帯が昔と比べて格段に増えているのと同義です。
連帯保証人の候補はまず第一に親ですが、いなければ叔父や叔母、兄弟姉妹が候補になります。
これが少なくなっているのが1点。次に「晩婚化」です。
保証会社の必要性 ②晩婚化
古き良き昭和の時代‥‥。
昭和22年(1947年)当時は初婚年齢が男性が26.1歳、女性が22.9歳でした。
昭和の時代は、結婚しないと出世できないと言われ、おせっかいな親戚のおばさんがお見合いを主導したりして、結婚は若いうちにするもんだって社会的な情勢がありました。
ところが、平成17年(2005年)にはこれが男性29.8歳、女性28歳まで上がり、直近の令和元年(2019年)には男性が31.2歳、女性が29.6歳まで上がりました。
俗にいう「晩婚化」です。
連帯保証人と初婚年齢に何の関係が‥‥?
出典:厚生労働省「人口動態統計」
次に第一子出生時の母親の平均年齢です。
1975年時点では上記年齢は25.7歳でしたが、2017年には30.7歳になっています。
5歳も上がっていますね。この傾向は近年ますます顕著になっているようです。
先ほど、連帯保証人の候補は第一に親であると記載しました。
子と親の年齢差が25歳程度であれば、例えば借主が30歳の場合でも親の年齢は55歳です。多くの場合は現役で働いており、保証能力も十分あるとみることができます。
ところが、子と親の年齢差が30~35歳になってくると、借主の年齢が30歳の場合、すでに親は引退しており年金生活です。保証能力に疑問符が付く場合も多くなります。
これが晩婚化、それに伴う第一子出産年齢の高齢化の効果で、これらにより保証会社の必要性が増していくことになります。
保証会社の必要性 ③年功序列の減退
最後に年功序列制度の減退です。
女性の社会進出が進み、グローバル化もあって、普通に企業に勤めていれば”自動的に”昇給するようなことは少なくなりました。単純にライバルが増えたからです。
また、転職も昭和の時代と比べて市民権を得てきています。
「ビズリー〇!」というフレーズが印象的な転職の会社がテレビCMしていたり。
今後は労働力不足が起こってくるため、60歳を超えても再雇用の道が残っていますが、それも限界があります。
しかも再雇用されると賃金は著しく低下します。
第3-(2)-11図により、標準労働者(新規学卒者として就職してから同一企業に勤続している継続勤務者)の賃金プロファイルの変化をみると、高齢化及び定年年齢の引上げ175等を背景に1985年及び1990年の50歳台前半をピークとする形から、1995~2005年の50歳台後半をピークとする形に、さらには2010年以降の50歳台前半をピークとした後大きく低下する形へと変化している。一方で、人口減少や少子高齢化に伴う労働力人口の減少が課題となっている中、働く意欲と能力のある高齢者が働ける社会の実現がこれまで以上に重要になっており、高齢者の知識、経験等を活用することが課題となっている。
出典:厚生労働省 閣議版-第3章 (mhlw.go.jp)
年功序列が減退したってデータは少ないので、ちょっと困りました。
でも国民的アニメ「サザエさん」にそのヒントがありました‥‥!
会社のデスクに座って、何やら考え事をしている磯野家の長、波平。
よくよく見ると、パソコンも無ければ資料や筆記用具の類が一切ありません。
あるのは電話だけ。
「おい!波平!お前仕事してんのか!?」
そんな波平の月収は、下記画像によればおそらく手取りで78万円‥‥!(家計簿っぽいので)
額面で言えば月額100万円近くもらっている計算で、年収に直すと最低でも1,200万円、ボーナスを加味すると1,500万円以上の可能性もあります。ウラヤマ。
以上、これが昭和の年功序列を象徴する家庭の懐具合ですw
今ではあり得ませんね?あり得ませんよね??(乱暴)w
‥‥気を取り直して‥。
何が言いたいかと言うと、平成後期~令和の50代の高年収は、昭和のそれよりも難しいと思われます。
しかも社会保険料や消費税なども上がっていて可処分所得は間違いなく現代の方が減っていますからね。
ってことで、この項では連帯保証人の保証能力の減退についての考察でした。
日本全体の社会情勢によって必要になった保証会社制度
以上3点が日本全体の社会情勢によって保証会社が社会に必要とされる理由です。
もう少しかみ砕いて説明すると下記の通りです。
何も大家さんや管理会社、不動産屋が楽をしたいとかで浸透してきた制度ではありません。
借主が30代の場合、連帯保証人の候補である親の年齢が50代というのは珍しい部類です。
仮に親が現役だったとしても、すぐに定年になります。再雇用の道はありますが、賃金が著しく下がります。これが一般的な傾向。
つまり、社会的に”連帯保証人という資源が枯渇”してきたのが現在の日本全体の状況です。
次回は賃貸借契約におけるニーズの変化というソフト面で保証会社の必要性が増したという論点で解説したいと思います。
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